メガゴジラに続き、タワマンが神宮にそびえ立った。

巨人横川凱投手(22)が、プロ5年目にして初勝利を手にした。身長190センチの大型左腕は、最速145キロの直球と決め球のフォークがさえ渡り、原監督命名「タワマン投法」がさく裂。5回をわずか59球で5安打2失点にまとめた。大阪桐蔭から18年ドラフト4位で入団も2度の育成落ち、3度目の支配下登録を経て勝ち取った。身長2メートルの秋広による連日の打点などで打線は大量援護し、チームは6カードぶりのカード勝ち越しを収めた。

   ◇   ◇   ◇

横川は貪欲に成長のヒントを探し求め、1冊の本を手に取った。「貧乏父さん金持ち父さん」。お金の使い方で人生は変わることが書かれたビジネス書だった。「一瞬の快楽に使うか。目先のことだけでなく、長期的に考える。1つの結果に左右されず、先を見据えて行動する」。未来を考え、家計簿も付けるようになった。その思考は野球にも重ねる。物事を突き詰める性がある。

神宮でヒーローインタビューを受けることになる、ちょうど3カ月前。1月23日。最新テクノロジーの動作解析施設「ネクストベース・アスリートラボ」へ向かった。何度も確認したのは、リリース時の中指、人さし指のスロー映像。球にいい回転をかける精度が低いと認識させられた。直球を痛打され、勝てなかった一因を見つけた。昨オフの自主トレで同行した中日涌井に言われた「ローテの投手は100球中、80球から90球をいい感覚で投げられる」という言葉を体現するためだった。

磨いたのは指先の感覚だ。指のウオーミングアップがルーティンに加わった。キャッチボール前、指を裏側に伸ばし、肘を曲げ伸ばし。「手に吸い付く感覚で持てる」。右手を高く上げる大胆なフォーム変更だけではない。細部の追求で直球の威力、精度は格段に進化した。今季は育成からスタートし開幕ローテ入り、そして初勝利。劇変の理由は細かすぎる追求だった。

春夏連覇した大阪桐蔭時代は背番号10。3年夏の甲子園は6試合で1登板だった。背中を追っていた日本ハム柿木、中日根尾より早く手にしたプロ初勝利。人生が変わった。「先に勝てたとかは別にないが、みんな活躍できるように切磋琢磨(せっさたくま)したい」。まだ通過点だ。【上田悠太】

◆横川凱(よこがわ・かい)2000年(平12)8月30日生まれ、滋賀県出身。大阪桐蔭では中日根尾、ロッテ藤原らと同学年で17年春、18年春夏に甲子園で計4試合に登板。18年は春夏連覇を達成した。18年ドラフト4位で巨人入団。2度目の育成契約から3月9日に支配下選手登録された。過去の1軍登板は7試合で0勝4敗。190センチ、98キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸660万円。

▽巨人原監督(初勝利の横川に) 今日はメリハリの利いていた、非常に力投したね。彼の良さが出たと思いますね。

【関連記事】巨人ニュース一覧