今夜の「金曜ローキショー」は、165キロ×4球の衝撃結末だった。ロッテ佐々木朗希投手(21)がオリックス戦で、日本ハム時代の大谷翔平投手(現エンゼルス)に並ぶNPB日本人最速タイをマーク。序盤ではなく、すべて5回以降に毎回計測する「令和の怪物」ぶりを発揮した。初回で連続イニング無失点が20で途切れ、同点の7回で106球降板。開幕から4試合連続無失点勝利は逃したが、いよいよ日本人最速166キロも見えてきた。首位を走るチームは剛腕朗希に導かれ、延長戦で勝利した。

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「165キロ」。佐々木朗が、一挙3得点で追いついた仲間の援護に奮い立った。「同点にしてもらったので、勝ち越しを許さないように、もう1回気持ちを入れ直しました」。5回1死一塁、杉本への初球の外角球。ファウルの打球音の直後に観衆を「お~」と、どよめかせた。表情は、ニコリとしもしない。4番森との勝負で四球を出した直後だっただけに、さらに切れ長の目をぎらつかせた。

同じ165キロの球速でも4種4様だった。6回2死、茶野のファウルは、外角低めにしっかりと指にかかっていた。7回1死一塁ではバントの構えをした中川圭には、少しひっかけ気味に外角低めに外れてボール。さらに2死二塁、打席には森。1-1から内角を狙ったボールが大きく外れて右膝裏への死球。もん絶する相手に汗を拭う。ベンチで手当を受けて一塁へ向かう森に、頭を下げた。

自身の球速には「球速(表示)の上も下もバラバラだった。正確ではないので、打者の反応を大事にしながら投げました」。表示ではなく、自身の感覚を重視する姿勢に揺るぎはない。

4回までは、今季開幕から試合前まで20イニング無失点を続けてきた迫力を欠いていた。「今年初めてのビジターだったのでいつもとは違った。早いカウントで簡単に打たれてしまった」。初回に宗に今季初の長打を喫すると、森にも右翼に適時二塁打で先制点を許した。4回には茶野に自身の左足甲を直撃する強襲適時打。紅林に右犠飛を重ねられた。

だが5回以降に確変し、WBC前の3月4日中日戦でたたき出した自己最速の165キロを4球もマークした。公式戦では自身初で大谷と並び日本人最速タイ。さらに同じ記録を持つ広島コルニエルも、NPB史上最速166キロの巨人ビエイラもリリーフ登板でのものだ。先発でたたき出す佐々木朗の伸びしろは底が知れない。

10回の山口の決勝犠飛にはベンチで両手を上げガッツポーズ。ようやく笑顔が出た。「最後は良い形で終われて、次につながると思います」。本人に球速の意識はあまりない。だが、「次に」期待してしまう。【鎌田直秀】

◆プロ野球の球速 佐々木朗が165キロを計測した。日本球界では21年ビエイラ(巨人)の166キロが最速。日本人では最速タイとなり、16年CSの大谷翔平(日本ハム)と、佐々木朗が今年3月4日の日本代表壮行試合で中日相手にマークした165キロに並んだ。公式戦の日本人投手に限ると16年大谷、22年千賀(ソフトバンク)、佐々木朗が22年から前回登板まで通算7試合で記録した過去最速の各164キロを上回った。

▽ロッテ吉井監督(佐々木朗の投球とWBCでの成長に)「6回で終わりかなと思ったけれど7回までいけた。一番きついところ。(侍ジャパンの)先輩たちの勝負に対する執着心を見ていて、絶対に負けないぞというのが態度にも出ている。次は115球くらい伸ばしていきたい」

▽ロッテ黒木投手コーチ(佐々木朗の投球内容に)「体が強くなっています。人が投げられないボールを投げているのに精度が高い。異次元のピッチャー。大事にしないといけないと、こちらもプレッシャーがあります」

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