勝率100%のニューフェースがまた勝った。阪神先発の大竹耕太郎投手(27)が、5回3安打無失点でハーラートップタイの3勝目を挙げた。現役ドラフトでソフトバンクから移籍した左腕は開幕から3戦3勝。チームでは03年に阪神に加入した伊良部秀輝の2戦2勝を超え、初の快挙だ。ヒーローインタビューを受けた後は、東都虎党の「大竹コール」が響き続けた。

「目の前の1人1人に対して、集中して対戦していくことを大事にしている中で、その結果3勝というのは素直にうれしいです」

本調子ではない中で、ゲームをつくった。初回1死から浜田に今季対戦48人目で初の四球を許したが、山田、村上を仕留めた。5回は先頭から連打を浴び、1死二、三塁のピンチで並木の一塁側へのセーフティーバントを好フィールディングで処理。最後は浜田を中飛に仕留め、左拳で渾身(こんしん)のガッツポーズ。岡田監督は「ある程度、捉えられてきたから」と早めの継投策を選択し、リリーフ陣にあとを託した。

感情を表に出すスタイルに変貌したことが、新天地での好投の一因だ。野球を始めた少年時代からソフトバンク在籍時までは「感情を押し殺して野球をしてきた。ピッチャーたるもの、そうあるべきと思っていた」という。抑えても、打たれても淡々。だが、師と仰ぐ古巣の大先輩和田から「もっと(表に)出していった方がいいよ」と助言をもらい、年を重ねるごとにその重要さが分かってきた。「いいリズムで投げられたら、守備でもいいプレーをしてもらえる」と、この日もテンポよくアウトを積み重ね、何度も左拳を握った。感情を包み隠さないニュースタイルで、チームの士気も高めている。

神宮は懐かしの庭だった。早大2年時の15年春季リーグ戦で最優秀防御率とベストナインを獲得し、優勝に貢献。通算38試合に登板し、11勝10敗、防御率2・86の成績でプロ入りへの足がががりをつかんだ原点だ。「神宮はすごい思い入れのある球場。登板前からいいイメージを持って今日は臨めました」。早大の先輩でもある指揮官に「勝利」で恩返しした。【古財稜明】

▼阪神大竹が無傷の3勝目を挙げた。阪神の移籍選手で初登板から3戦3勝は球団初。大竹は2戦2勝で並んでいた03年伊良部秀輝を超えた。伊良部は2戦2勝で迎えた4月11日巨人戦では7回1失点と勝利投手の権利を持って降板したが、9回に味方が同点に追いつかれて白星が消えた。