2日連続の“神宮花火大会”で一番大きな花を咲かせた。DeNA牧秀悟内野手(25)がヤクルト戦(神宮)の2回に自身プロ初の満塁弾を放った。5日の同対戦でも4号ソロで8点目を追加したが、まさかの9回2死からサヨナラ負けを喫していた。リーグトップタイの18打点目を稼いだ4番を中心に打線は2日連続となる5本塁打で発奮。20安打17点と、今季初2ケタ得点の猛攻でやり返し、首位固めを着々と進めた。

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2死満塁で4番に回った。3点リードの2回、宮崎が申告敬遠されて塁が埋まった。牧はヤクルト小川の高めカットボールをコンパクトに捉えた。「追い込まれていたので前に飛ばすつもりで打ちました」。白球は左翼席へ消えた。早くもこの日、チーム4発目を打ち上げた。

グランドスラムの経験はプロどころか高校、大学でもない。「ないですね、初めてですかね。小学生の時に打ってるかもしれないけど…」。少なくとも物心がついてからは自身初の満弾で、リベンジマッチを優位に進めた。

5日は両軍合わせて11発を浴びせ合う乱打戦の末、サヨナラ2ランで逆転負け。牧はソロ本塁打を放ったが「負けて投手陣を助けられなかった。今度は野手で何とかしたかった」。風はこの日も、またも強い。いくら投手陣が集中して制球しても、打球が伸びる。乱打戦に応じるしかなかった。

くしくも試合前、同じグラウンドで歴史的な1発が記録されていた。東京6大学リーグで東大が、同校39年ぶり2度目の満塁本塁打で立大に引き分け。ちょうど練習前ミーティングのタイミングで、球場の大盛り上がりに石井チーフ打撃コーチは「うちもこれでいくぞ!」と発奮。4番が見事に応えた。

これでヤクルト村上に並び、打点はリーグ1位タイの18にのびた。「4番の仕事だと思うので。チャンスでは打てるようにしていきたい。チームとしても個人としてもいい形になってきています」。ショッキンクな負け方にも落ち込まず、チーム全体で打ち勝った。中核に牧がいた。【鎌田良美】

 

▼DeNAが前日に続いて5本塁打。2試合続けて5本塁打以上は04年4月6、7日西武以来、19年ぶり10度目。セ・リーグでは85年7月12、13日巨人、00年8月10、11日巨人に次いで3度目になる。DeNAは敵地の神宮球場で記録。2試合とも敵地は72年東映が7月14、16日に東京スタジアムのロッテ戦で記録して以来、51年ぶり2度目。東京スタジアムは狭い「本塁打量産球場」だったが、今回は強風が味方になったか。

 

○…DeNA佐野が自身初の先頭打者本塁打を含む2戦3発で打線を鼓舞した。1回、ヤクルト小川の初球真っすぐをたたき、右翼席最前部へ突き刺した。「プレーボールに向けて最高の準備ができた。次の1点を野手全員で貪欲に取りにいけた」と話し、3安打2打点で打線をけん引。5日も3回に右越えソロ、4回にバックスクリーンへ3ランを放っており、調子は上向きだ。

 

○…DeNA宮崎が2発を含む3安打3打点4得点とフル回転した。1回1死でヤクルト小川から右中間ソロ、7回1死一塁では左腕の長谷川から左越え2ランを放った。打率4割2分9厘はリーグ断トツ。7本塁打も巨人中田に並ぶ1位タイで、リーグ打撃2冠となった。「いつもと同じ気持ちで打席に入りました。昨日負けてしまったので勝ちたかった」と話した。

 

▼DeNA三浦監督(連日の乱打戦でやり返し)「昨日は昨日、また新しい気持ちで選手が臨んでくれた。誰1人、引きずることなく臨んでいた」

 

▼DeNA上茶谷(3回途中から登板して1回1/3を1失点。リリーフで開幕を迎えて今季初勝利)「今年はブルペン待機ですけど、常に初回からいく準備をしています」

 

▼DeNA浜口(4月19日以来の1軍先発は2回2/3を4失点で勝敗付かず)「早い段階での降板となり、イニング途中で交代となった上茶谷、中継ぎ陣に申し訳ないです」