東海大静岡が史上初の優勝決定プレーオフで静岡大を1-0で下し、2019年春以来8季ぶり7度目の優勝を飾った。エース佐藤孝介(4年=清流館高出)が、5安打1四球で今季初完封。大一番で会心の投球を見せ、立役者となった。同大は県代表として、20日に三重県で開催される春季東海選手権に出場。三重、岐阜の代表校と全日本大学選手権の切符(1校)を争う。

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東海大静岡1点リードの9回2死走者なし。佐藤孝が、最後の打者を左飛に打ち取った。静岡大との最終決戦を制して立った8季ぶりの頂点。マウンド上に歓喜の輪が広がった。手塚慎太郎監督(47)は「突出した選手のいない地味なチーム。優勝できるとは思っていなかった。びっくり」と、頼もしく成長した教え子たちの快挙に目を細めた。

エース右腕が輝いた。序盤から直球主体の強気の投球で押した。最優秀防御率とベストナインの2冠を達成した静岡大のエース吉田哉太(4年)との投げ合い。「接戦は覚悟していた。1点で十分」。101球。最後まで隙を見せず、3回にスクイズで奪った1点のリードを守り抜いた。

99年のリーグ開始から秋を含めて初の優勝決定プレーオフ。未知の戦いで生きたのは「いつも通り」だった。前日10日。山本好輝主将(4年=聖隷クリストファー高出)から特別な言葉はない。ナインは朝6時半から全体練習を行うなど、通常と同じ1日を過ごした。指揮官が「僕が一番硬かった」と笑えば、山本も「緊張はなかった」。“特別な一戦”でも、築いてきた投手中心の守りの野球を存分に発揮。勝ちきった。

全国切符を懸けた東海選手権までは9日。佐藤孝は「厳しい戦いになると思う。期待に応えられるように、しっかり準備をしていきたい」。山本も「今までやってきたことに自信を持って戦いたい」と言葉に力を込めた。栄冠を勝ち取ったスタイルを貫き、大舞台を目指す。【前田和哉】

○…静岡大は2季ぶりの優勝にあと1歩届かなかった。エース右腕・吉田が1失点完投。12安打を浴びながらも要所を締めた。しかし打線が力投に応えられず、5安打で無得点。ナインはベンチでうなだれた。3打数無安打に終わった3番佐藤啓介主将(4年)は「昨秋から打って勝とうと目標を掲げてきたけど、最後まで課題を解消できなかった。自分自身も結果を出せず、悔しい」と唇をかんだ。