かつての55番のようではなくても、必死の粘りで食らい付いた。

巨人秋広優人内野手(20)が、6度目の打席に立ったとき、試合開始からすでに4時間半が経過していた。1点差に詰め寄った延長12回1死一、三塁。「食らいついていこう」と5球連続ファウルで粘った。9球目、内角高めの147キロ直球に長い腕をたたみながら左翼線へ。チームの延長戦の連敗を7で止める同点適時打でブリンソンのサヨナラ打を呼び込み「落ちてくれてよかった」と胸をなで下ろした。

大きな背番号55の誇りに少しだけ触れた。3日ヤクルト戦で東京ドームに来場した松井秀喜氏と、ベンチ裏で初対面した。「将来のジャイアンツを背負って」と力強い言葉とともに、背番号55のユニホームに直筆でサインをもらい「最高です。宝物にしたい」。お立ち台では「55番を秋広に背負わせて良かったと思える選手になりたい」とあらためて宣言した。プロ初の猛打賞を上回る4安打を放ち、1歩ずつ背中を追う。

自主トレを2年連続でともにする中田翔が負傷離脱する中、代わって一塁を守る機会が増えた。スマホには「調子どうだ?」と師匠から心配の声が届く。「いいチーム状態で戻って来てほしい。自分はチームになんとか貢献できるように頑張りたい」。メガゴジラの存在感が、日に日に増している。【小早川宗一郎】