ロッテは種市篤暉投手(24)が9回3安打9奪三振1失点と好投したが、延長12回でも決着つかず1-1で引き分け、4月30日以来の首位復帰はならなかった。

種市の9回登板は、プロ初完投初完封勝利を挙げた20年7月25日の西武戦以来1025日ぶりだ。8回終了後に「行きますと言いました」と志願。途中からフォークの握りを少し浅くして精度を増すなど修正も見事だった。20年9月に受けたトミー・ジョン手術も乗り越えてきたが「術後初めて9回を投げ、投げられる自信はついたので次は完封が目標。勝ちは運だと思っているので、防御率、イニング、奪三振数にこだわりたい」。今季の通算奪三振数も52に伸ばしてリーグトップに。「(佐々木)朗希とは登板数が違うのであれですけれど、ピンチでとれたらいいなくらいの気持ちで投げているので、そこを取れていることに関してじゃよかったかなと思います」と狙い通りの投球が出来ている部分には納得の表情だった。

3回1死から甘く入った直球を紅林に捉えられ、左越えソロで先制点を許した。「しっかり反省します」。だが、6回の1死一、二塁のピンチは、茶野、代打のT-岡田をフォークで連続三振。7回も先頭の中川圭をフォークで、シュウィンデルを149キロの直球で連続三振を奪い、前の回から4者連続三振と、後半にも勢いは増した。

守備も種市を盛り上げた。2回にはシュウィンデルの三遊間の打球を、遊撃のルーキー友杉篤輝内野手(22)が逆シングルでキャッチ。最深部からノーバウンドで一塁に送球してアウトにした。4回1死一塁では佐藤都志也捕手(25)が二盗を封じて三振ゲッツー。8回にも2死二塁から抜ければ勝ち越しを許す場面で、右翼の和田康士朗外野手(24)が背面キャッチで救った。ベンチ前で待つ種市はグラブ同士でハイタッチしただけでなく、ギュッと抱き締めて感謝した。

吉井理人監督(58)は「故障前から、なんとかしようという気持ちの強い投手なので、それがまた出てきた感じ。成長というより本来の種市に戻ってきた。もっとレベルが上がっていくと思う」と今後にも期待を寄せた。一方で、今季は術後初の先発ローテ入りによる右肘などの疲労も考慮し、登録を抹消して登板間隔を空けることも明かした。【鎌田直秀】

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