九産大が8回コールドの11-4で九共大を下し、9勝2敗(勝ち点4)で並んで逆王手をかけた。3点ビハインドの7回、4番本田蒼空(そら)内野手(4年=小倉)が勝ち越しの3点中越え二塁打を放つなど打者11人の猛攻で、一挙7点を奪い大逆転。勢いのまま、8回も3得点で勝負を決めた。22日に1勝1敗で臨む同カード第3戦(九共大野球場)で、21年秋以来3季ぶり優勝を目指す。

本田の会心の一撃が、九共大の3季連続Vに待ったをかけた。

執念で4-4に追いついた7回2死満塁。一打勝ち越しのチャンスで、「押せ押せで同点になり、勝ち越して後ろにつなごうと思った」と、相手2番手左腕の初球変化球を強振だ。走者一掃の中越え二塁打となり、塁上で右手を突き上げた。さらに、自身も5番の中前打で生還し、雄たけびでミラクル逆転劇を喜んだ。

意地の集中攻撃だった。負ければ終戦の崖っぷち。試合前、大久保哲也監督(60)から「最後は気持ちぞ」と鼓舞され、気合が違った。「諦めず1点ずつ返す意識でした」と本田。7回に球威とキレが落ちた九共大先発の稲川竜汰投手(2年=折尾愛真)を攻略して、7回途中5失点で初黒星をつけた。

勢いのまま、8回に1点を加えてなお2死一、二塁。3番阿部謙心外野手(2年=九産大九州)の右中間2点二塁打で、一気に勝負を決めた。

これで、1勝1敗と譲らず九共大と首位で並ぶ。勝ち点制で行われる同カード3戦目は勝ったほうが優勝。大久保監督は「総動員でやるだけ。(リーグを)おもしろくしないといけない」。意地の伝統校対決に、負けるつもりはない。【菊川光一】

○…九共大は逆王手をかけられたが、第3戦に勝てば、3季連続優勝が決まる。第1戦で先勝し、優勝王手の第2戦も、6回まで3点をリードする好気配だった。だが、稲川投手が6回2/3を5失点でまさかの降板。5投手による必死の継投も、相手打線の勢いを止められなかった。それでも、プロ注目で主将の梁瀬慶次郎内野手(4年=長崎日大)は「九産大は流れに乗ると怖い。明日(22日)は精いっぱい頑張るだけ」と前を向いた。