オリックス山本由伸投手(24)が中16日の復帰戦で8回無失点の快投を演じ、4勝目を挙げた。8奪三振、被安打2、無四死球と文句のない内容だった。

涼しい顔で仲間と大量のハイタッチをこなした。8回で101球。完封ペースでの交代だった。「(調子は)よかった方だと思います。9回もたぶん行けましたが、こだわりはなかったです」とサラリと言った。

初回の3番秋山から2回の林まで主軸の左打者から4連続三振。許した走者は2人だけ。最速156キロの直球に加え、この日はスプリットなど全ての変化球を思いのままに制球した。

20日の日本ハム戦を当日に回避。高熱に苦しんだ。「まあまあ出ました。でも当日は下がってきたので、ぎりぎり無理という感じでした」。翌21日には軽い運動を再開できた。舞洲の施設で自らの状態と向き合った。「特にメニューは変わらず、いつも通り1日1日を大事にやりました」と、こともなげだった。

今季はWBCの影響か、本調子を出せなかった。それでも、来季メジャー移籍の可能性がある右腕には変わらず熱視線が注がれる。京セラドーム大阪にはメジャー8球団が来場。メッツはエップラーGMが、フィリーズは5人態勢で視察した。あるスカウトは世界全体の市場の目玉になる可能性を証言した。その眼前で、2年連続投手4冠&リーグMVPの日本最強右腕は本来の姿を披露した。

102度目の先発で5回以上投げたのは節目の100度目。2度の早期降板もプロ1年目のこと。驚異の数字がゲームメーク能力の高さを物語る。「登板回避でチームにすごく迷惑かけてしまったので、しっかり勝って取り返せたら」。チームは広島に13連勝。2年ぶりの優勝を狙う交流戦が、スーパーエースの復活とともに開幕した。【柏原誠】

▽オリックス中嶋監督(山本について)「どのくらいまで投げられるかと思ったんですけど。いいペース配分だったかなと。(交代メドは)100球でしょうね。そのくらいで収めたいと思っていた」