巨人の4番と守護神が、底力を見せた。「日本生命セ・パ交流戦」で主将の岡本和真内野手(26)が日本ハム戦の延長10回、自身3度目のサヨナラ打で勝利を呼び込んだ。

その直前、大勢投手(23)が今季初の回またぎで、プロ最多44球の熱投を披露。9回に1点差を追いつかれながら、10回を無失点に抑え、延長サヨナラへ持ち込んだ。3月のWBCでも躍動した若き投打の柱が踏ん張り、チームは今季4度目のサヨナラ勝利で借金返済。勝率5割に復帰した。

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間に合わなかった水の代わりに、ハンドシャワーを浴びた。岡本和が延長10回無死一塁、初球。日本ハム玉井の142キロ直球を左翼線ギリギリへ運んだ。一塁走者の重信が俊足を飛ばしてサヨナラのホームイン。わずか2球、2安打で決着をつけた。ベンチのウオーターシャワーの準備も間に合わず、ヘルメットを脱がされ、倒れ込んでひたすら頭をなでられた。「耐えられないくらいの圧力が…。気付いたら倒れてあんなんなってた」。お立ち台では真顔で「最高でーす」。WBCでも沸かせたセリフで東京ドームを笑顔にした。

守護神の懸命な粘投に報いた。WBCでも共闘した大勢が1点リードの9回に同点に追い付かれ、セーブに失敗した。1死一、三塁、清水のセーフティースクイズに、一塁・岡本和がイチかバチかのグラブトスも間に合わなかった。このまま終わらせるわけには行かなかった。

4番と守護神。“ガチオカ”コンビは、先輩後輩以上の固い絆で結ばれる。5月の休養日。大勢を焼き肉に誘った。渡したいご褒美があった。昨季の新人王祝いに、高級ブランド「エルメス」のブルーのスーツ一式をオーダーメードしプレゼント。100万円近くする高級品を「もらったらうれしいやん。セーブ王とったら、もっといいやつを買ってあげようかな」とねぎらいと発奮を込めて、気前よく贈った。

4番から守護神へ、粋なプレゼントに大勢は襟を正す。「本当にありがたいし、僕も後輩に同じことをしてあげられるようにもっと頑張りたい」。今季初のイニングまたぎで、延長10回2死一、三塁とピンチを招いたが、野村をフォークで空振り三振に封じてしのいだ。直後のサヨナラ打で報われ「重信さんや和真さんに助けていただいて感謝したい」。グラブをはめたまま、歓喜の輪で跳びはねた。

主将の岡本和真は言う。「大勢にいつも助けてもらってますし、こういう時もあると思う。それをカバーし合うのがチームだと思う」。沈む守護神の顔は見たくない。巨人には最高のキャプテンがいる。【小早川宗一郎】

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