ソフトバンク有原航平投手(30)が「日本生命セ・パ交流戦」のヤクルト戦(神宮)で移籍後初勝利を手にした。6回を5安打1失点。3本塁打と打線の援護にも恵まれ、日本球界では3年ぶりの白星となった。右肩手術の影響でメジャーでは2年間で3勝に終わり、再起をかけてホークスに入団した30歳が、8カード連続の初戦白星を呼び込んだ。

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有原が神宮で記念すべき鷹1勝を刻んだ。早大時代、通算62試合に登板し、自らの土台を築いた思い出深い地。慣れ親しんだマウンド、景色が右腕を奮い立たせた。6回をソロ本塁打による1失点で移籍後初勝利。普段はクールな男は少し感慨深げに口を開いた。

「やっぱりこの神宮で勝てたっていうのは何かこう…。大学野球はここで育ててもらったっていう思いが僕自身あるので。自分の中でも特別な1勝になったかなと思います」

正念場でギアをあげた。1-0の2回1死二、三塁。柔和な表情から鋭い目つきに変え、武岡を遊飛、小川を遊ゴロ。犠飛すら許さない。4回はサンタナ、内山の連打で1死一、二塁を招いたが、中村をツーシームで併殺に料理した。「落ちる球の精度が良くなかったので、その分ボールを動かして。粘りのピッチングはできたと思います」。かつての“本拠地”でヤクルト打線を手玉に取った。

日本ハムからポスティングシステムで挑戦。しかしメジャー1年目の21年に右肩を手術した。「苦しい時間の方が多かったです」。再起をかけ、レンジャーズから昨オフにホークス入団。それでも順風満帆とはいかず、開幕から不振で2軍生活が続いた。筑後のファーム施設で牙を磨き、大関の体調不良で6日に1軍初登板が巡ってきた。2度目のチャンスで結果を出した。「出遅れてしまったので、その分これからはチームに貢献したい」。20年以来3年ぶりに日本球界で復活星を挙げ、笑顔も戻った。

チームは8カード連続で白星スタートを決めた。交流戦は首位DeNA、巨人に1ゲーム差の4位タイ。12球団断トツ9度目の交流戦制覇は、射程圏内にある。さらにリーグ戦でも首位ロッテに1差と肉薄。「続けていけるように頑張ります」と引き締めた有原。まずは東都の鷹党のハートをがっちりつかんだ。【只松憲】

◆有原航平(ありはら・こうへい)1992年(平4)8月11日生まれ、広島県出身。広陵3年時に甲子園春夏連続出場。早大ではリーグ戦通算19勝12敗、防御率2・72。14年ドラフトで4球団の1位指名を受け、日本ハム入団。15年は8勝で新人王。19年に15勝で最多勝。20年オフにポスティング制度でレンジャーズ移籍。右肩手術の影響などで2年間で3勝7敗、防御率7・57。今季ソフトバンクで日本球界に復帰した。推定年俸5億円。背番号17。188センチ、95キロ。右投げ右打ち。