サヨナラ負けでも、阪神近本光司外野手(28)の「メモリアル初回先頭打者本塁打」は色あせない。初回第1打席。巨人戸郷から開始56秒で一撃を食らわせた。初回先頭打者弾は今季2本目で通算10本目。吉田義男(日刊スポーツ客員評論家)を抜いて球団歴代単独5位だ。5月25日ヤクルト戦以来、自身28試合ぶりの4号ソロは、NPBでは令和6000号のアーチとなった。

カウントは3ボール1ストライクだった。「打者有利のカウントだし、自分のスイングを心がけた。(相手は)四球は絶対に嫌だと思う。何でストライクとりにくるかなと」。戸郷の外角147キロに反応。打球は虎党の待つ左翼席最前列へスタンドインした。

「逆方向にホームラン打ったの、いつぶりやろ」。試合後には記憶をめぐらせた。プロ1年目の19年4月25日DeNA戦(横浜)で、抑え山崎から3ランを放って以来、約4年ぶりとなる左方向への1発だ。「別にあの方向とかは考えてなかった」と冷静に振り返った。

6月が終わった。月間打率は1割8分9厘。チームも自身も苦しんだ。21打席連続無安打の期間もあり「つらかった」と言ったこともある。ただ、その中でも9打点、10四球と数字は積み重ねてきた。今季35打点は早くも昨季を超え、41四球は自己最多タイだ。我慢の6月を上昇ムードで終え、夏場へ。7月反攻にリードオフマンは欠かせない。【中野椋】

【動画】まさかまさかまさかの逆方向 阪神近本光司の先頭打者アーチ

【関連記事】阪神ニュース一覧はこちら―>