プロ野球選手会と日本野球機構(NPB)による事務折衝が6日、行われた。選手会が申し入れていた肖像権の管理見直しや、先発投手の投げ抹消によるFA登録日数の問題についてNPB側から回答があったが、議論は平行線だった。

事務折衝を終えた選手会の森忠仁事務局長は「話にならない」と切り出した。選手の肖像権について、統一契約書第16条は、こう定める。

「球団が指示する場合、選手は写真、映画、テレビジョンに撮影されることを承諾する。なお、選手はこのような写真出演等に関する肖像権、著作権等のすべてが球団に属し、また球団が宣伝目的のためにいかなる方法でそれらを利用しても、異議を申し立てないことを承認する」

球団が金銭的な利益を受ければ、選手は適当な分配金を得ることも定められているが、選手の肖像権は球団が独占的に管理している。これに対し、選手会は条項の再検討を求めてきた。「最大限に選手の肖像を活用してもらえていない」(森事務局長)という思いがある。

選手会の山崎広報は「プロ野球選手は、あまり稼ぐことに意欲的じゃない芸能事務所に入った感じ。試合で稼いでいるから、いいでしょうと。もっと貪欲的にやっていくのが、本来であればNPBであるべき」と話した。一案として、選手会が管理できれば、今以上に選手の肖像権を活用できるという思いがある。ただ、この日のNPB側の回答は、選手への分配金のパーセンテージに関する話にとどまったという。

森事務局長は「(プロ野球界は)体質として、1回、決めたことを変えようとしない。1回、契約したら、そことやりとりしてるだけ。もっといいところがあっても、そっちにいかない。競争原理的なところ(がない)」と、議論が進まないことへのやるせなさを隠さなかった。

 

○…事務折衝では、先発投手が登板後に抹消される「投げ抹消」の問題も話し合われた。登録→登板→抹消を繰り返しながら、10日に1回しか登録がなければ、FA権の取得は極めて困難となる。選手会は、投げ抹消される選手にも一定数の登録日数を認めるような制度作りを求めているが、こちらも議論は平行線だった。また、故障した支配下選手が育成契約に切り替わるなど、育成制度が従来の趣旨と変わっていることについても問題提起した。