またもビックリ弾から劇的打! 阪神ドラフト1位森下翔太外野手(22)がDeNAとの首位攻防2戦目でサヨナラ犠飛を決めた。まずは2点を追う8回裏にサイ・ヤング賞右腕バウアーから同点2号2ラン。同点で迎えた9回裏1死満塁、今度はライナーで中堅右に運んだ。9日ヤクルト戦では8回裏にプロ初弾で1-0勝利の主役を張っていたルーキー。虎を1カ月半ぶりの3連勝、2位と3ゲーム差に導き、もう勢いが止まらない。

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甲子園のボルテージが最高潮に達しても、森下の脳内は冷静だった。

「前回三振した相手だったので、それを頭に入れていました。リラックス状態で入れた」

同点の9回1死満塁、マウンド上にはDeNAウェンデルケンがいた。6月25日は敵地で2点を追う7回2死満塁、チェンジアップで揺さぶられた後の直球で見逃し三振。同じ轍(てつ)は踏まなかった。チェンジアップを2球続けられ、1ボール1ストライク。直球をとらえ、ライナーで中堅右に運んだ。

「もう、最高です! 気持ちいいです。自分で勝利をつかんだところが何よりもうれしい」

サヨナラ犠飛。虎の新人に限れば、2度目のサヨナラ打は01年赤星以来の球団22年ぶりの快挙。勝利のウオーターシャワーを満面の笑みでかみしめた。

8回裏には劇的弾で試合を振り出しに戻した。2点ビハインドの8回裏無死一塁。バウアーの152キロ内角直球をフルスイングし、飛距離124メートルの大飛球を左中間席に届かせていた。「甘い球に対して積極的にスイングできた」。サイ・ヤング賞右腕からの初安打は値千金の同点2ラン。「狙い通りです。すごい自信になります」と納得顔だ。

視界の中に尊敬する先輩がいた。中大時代は時に直接、時にLINEで牧にアドバイスを請うた。「打撃で何を意識しているんですか?って聞いても『おう、頑張れよ!』としか返ってこない(笑い)。でも、それが牧さんらしくて」。

ヤクルト戦で8回裏に決勝のプロ初アーチを放った9日、牧も巨人戦でV弾を決めていた。この日も再び“シンクロ弾”を完成させ、岡田監督も「また中央デーになってしまったけどね。やっぱり最後も回ってきたな」とニヤリ。前回敗れたバウアーにリベンジし「向こうも一番いいピッチャーやし、今日の勝ちは非常に大きい」とうなずいた。

森下は守備でも5回1死、佐野の左中間への大飛球にフェンスに激突しながらキャッチ。攻守のフル稼働で3連勝に導いた。チームは首位攻防3連戦で4カードぶりの勝ち越しを決め、ゲーム差を3に拡大。「牧さんにいい刺激をもらっている。次も自分が打って、明日も勝ちたい」とドラ1ルーキー。勢いそのままに、カード3タテを食らわせにかかる。【三宅ひとみ】

○…森下は先輩から譲り受けたバットで快音を響かせている。大山がミズノ社に依頼し、森下と同じ型のバットを発注。「大山さんが1回作ったもの。自分のっちゃあ自分のバットだけど、大山さんが使わなくなったものをもらったって感じです」。ありがたく試合で使用しているという。同じ右打者でドラフト1位の長距離砲。後輩の躍動は先輩にとって、何よりの恩返しになるはずだ。

▼森下が本塁打とサヨナラ犠飛。阪神の新人が同じ試合で本塁打とサヨナラ打を記録したのは、糸原が17年7月9日巨人戦で山口俊から5回に本塁打し、9回にマシソンからサヨナラ二塁打を放って以来、6年ぶり。

▼森下は5月20日広島戦の左前打に続き、2度目のサヨナラ打。阪神の新人では、赤星憲広が01年5月4日中日戦と6月20日巨人戦にそれぞれサヨナラ安打して以来、22年ぶり。

▼阪神が13日のDeNA戦に勝てば、球宴前の単独首位ターンが決まる。15日からDeNAが広島3連戦に3連勝しても、45勝36敗2分けで勝率5割5分6厘。阪神は中日戦に3連敗しても46勝35敗3分けで5割6分8厘となり、DeNAを上回るため。なお13日阪神-DeNA戦が引き分けの場合、15日から阪神3連敗かつDeNA3連勝で、両球団が同率首位で前半戦を終える。

【動画】阪神森下翔太がサヨナラ犠飛!岡田監督もご満悦…DeNAバウアーはグラウンド見つめる