DeNA石田健大投手(30)が、3勝目&V打の活躍で阪神との首位攻防戦3連敗を阻止した。開幕投手を務めた3月31日以来の対戦で、5回3安打無失点。打っては5回1死二、三塁から中前に先制の2点適時打を放ち、決勝点をたたき出した。前半戦最後の直接対決で競り勝ち、対阪神戦のビジターでの連敗を8で止め、再び首位に2ゲーム差に迫った。

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真っすぐにイメージを合わせ、石田は打席に立った。0-0の5回1死二、三塁。阪神村上の149キロの速球を中堅にはじき返した。今季19打席目で初打点となる先制の2点適時打で自らを援護した。「何とか前に飛んでくれて、安打という最高の結果になって良かった」。盛り上がるベンチに向かって、一塁ベース上で冷静に右手で応えた。

リベンジの一打だった。6月28日の広島戦では5回に森下に決勝の1号3ランを被弾。5日のヤクルト戦では小沢の二塁打から勝ち越しを許した。「僕らもそうですけど、投手がヒットを打てば点につながる」。投手のHランプが持つ意味の大きさを知っていたのは石田自身。「何とかしたい思いが強かった」とバットに気持ちを乗せた。

もちろん、対村上への投球にも教訓は生かされた。3回は無死一塁から投手の村上の犠打を冷静に処理。先制した直後の5回の2打席目は遊ゴロに抑えた。1回、4回は無死二塁のピンチを背負ったが、後続をピシャリ。3回を含め、無死から3度走者を許しながら、取れるアウトを確実に取って5回無失点と粘った。

開幕戦で敗れた阪神にリベンジし、4月18日の巨人戦以来となる3勝目を挙げた。「開幕もやられてますし、まだまだ。やり返せたという気持ちはないです」。防御率2点台と試合をつくりながら、9試合白星がなく「自分から1点を嫌がる投球をして、自分で自分を苦しめた」と振り返るが、山本との今季初バッテリーでゾーン内で攻めた。

防御率リーグ3位の好投手からの一打に、「プロ野球投手による安打を放った最多連続年数」のギネス世界記録を持つ三浦監督も目を丸くさせた。「防御率1点台の投手からよく打った。よく踏ん張ったし、ナイスバッティングです」。投打の“二刀流”で輝きを放ち、阪神戦のビジターでの連敗を8で止め、首位との差を2に縮めた。【久保賢吾】

▼石田が5回に先制点となる2点適時打を放ち、4月18日以来の白星。V打はプロ入り初で、殊勲安打も初めてだった。なお、石田はこれが通算105試合目の先発だったが、1度も完投がなく、すべて途中降板。初登板からの連続先発完投なしの記録は16~21年加藤(日本ハム)がマークした105試合で、最長記録に並んだ。