巨人が限界に挑むメガゴジラの“祝砲”で3位DeNAに競り勝った。同点の8回に秋広優人内野手(20)が3戦連発となる9号2ランで試合を決めた。高卒3年目以内の3戦連発は、巨人では松井秀喜以来28年ぶり。先制ソロの大城卓、中押しソロの吉川を含む、3発4得点で連敗を5で止め、後半戦白星発進。この日は原辰徳監督の65回目の誕生日で、監督在任中のバースデー勝利は09年横浜戦(現DeNA)以来14年ぶり2勝目となった。

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弾丸ライナーで横浜の夜空を切り裂いた。同点の8回1死二塁、秋広が長い腕をたたんで振り抜いた。カウント3-1からDeNA伊勢の内角高め148キロを引っ張り込んだ。「空振りしてもいいくらいの気持ちで入った。当たってくれて良かったです」と決勝2ランを決めた。3戦連発の9号で後半戦の目標に掲げる2ケタ本塁打に王手をかけ、ノリに乗っている。

原監督の65歳のバースデーに白星を届けた。試合前にはミーティングでマネジャーから「誕生日だから歌って」とむちゃぶりされ、チームメート、スタッフ全員の前で「ハッピーバースデー原監督~♪」と独唱。「バカ恥ずかしかった…」と照れ笑いしながらも「連敗中でもあったし、監督の誕生日でもあり、(先発の)伊織さんが頑張っていた。打てて良かった」と安堵(あんど)した。

交代浴で限界を超える。自主トレもともにする師匠の中田翔から、2月のキャンプ中に疲労回復法として交代浴をすすめられた。水風呂は今でも苦手だが「できれば入りたくないですけど、体のために。次の日に(体の)軽さがある。睡眠の深さとかも変わる」と心を鬼にして日課にする。あえて入浴時間は設定せず「限界×限界の3セットです。翔さんがそれだった。頭がクラクラしてきます」と師匠のやり方をまね。寮の風呂場で身長2メートルの長身を折り畳み、長くて20分ほど、日々限界にトライしている。

挑戦は続く。3回無死一、二塁から犠打のサインも捕手前に転がって失敗。決勝アーチで取り返したが「ミスが多すぎて…。ミスしないことが一番だけど、取り返せるように頑張ります」と糧にする。メガゴジラの限界は、もっと先にある。【小早川宗一郎】

▼高卒3年目の秋広が勝ち越しの9号を放ち、16日ヤクルト戦から3試合連続本塁打。巨人で高卒3年目以内に3試合連続本塁打を記録したのは松井以来になる。松井は2年目の94年8月17~19日、3年目の95年6月9~11日と、3年目までに2度やった。松井以前では高卒2年目の吉村が83年6月28~30日に記録しているだけで、2リーグ制後は球団3人目。通算868本の王が初めて3戦連発したのは高卒4年目の62年7月19~21日で、秋広が王より1年早くマークした。