阪神岡田彰布監督(65)がCSでも王者の野球を貫き、“高校野球戦法”で挑んできた新井カープを撃破した。「向こうは四球が嫌と思うんで。どんどんストライク来るから、今日はもうね、最初から打っていいて言ってた」。ファーストストライク狙いを指示したミーティングがズバリ。会心の逆転勝ちだ。

作戦がハマったのは、下位からの攻撃だった同点の5回だ。1死一塁から8番木浪が初球の真ん中高めを右前打に運んで一、三塁。9番投手の村上も初球内角チェンジアップをとらえ、一塁線を破る勝ち越しの適時二塁打だ。さらに1番近本も1ボールから外角低めの動く球を中前へ2点適時打。すべて、最初のストライクをとらえた。

新井監督は韮沢を8番一塁で6月以来のスタメンに抜てきする奇襲に出たが、岡田阪神はレギュラー8人不動の打順、不動のポジションで戦った。0-0の4回、無死三塁のピンチも内野は前進せず、1点やってもいい守りで最少失点で切り抜けた。「1点勝負とは思ってなかった。後半点を取れると思っていたから」。9月14日のリーグ優勝から1カ月、1軍戦は4日のヤクルトとの最終戦から2週間空いたが、必ず九里をとらえると確信していた。リーグ最多の494四球を選んだ打線が、ストライク先行の九里に合わせて、早めの好球必打で攻略した。

新井監督は、08年に監督と選手の関係で戦った間柄。阪神OB指揮官がCSで対決するのは初だ。短期決戦に良い思い出がない岡田監督にとって、ポストシーズン初戦の勝利は4度目で初めて。「そら、大きいよ!」。一気の横綱相撲で突破する。【石橋隆雄】