「恐怖の8番」が決めた! 阪神が「2023JERAクライマックスシリーズ セ」のファイナルステージ第2戦で球団初のCSサヨナラ勝利を飾り、通算3勝で日本シリーズ進出に王手をかけた。1-1の9回裏2死満塁。「満塁男」の8番木浪聖也内野手(29)が一、二塁間を破り、熱戦に終止符を打った。プレーオフ、CSで無傷の王手をかけたチームの突破率は100%。9年ぶりの日本シリーズはもう目前だ。

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8番木浪が熱く、それでいて丁寧に引っ張った。1-1で迎えた9回裏2死満塁。痛烈なゴロで一、二塁間を真っ二つに破った。耳をつんざく大歓声が甲子園を覆う。球団史上初のCSサヨナラだ。右翼手が捕球した頃には、すでにベンチから仲間が駆け寄ってきていた。歓喜のウオーターシャワーを全身で浴び、直前の打者坂本と抱き合った。

「みんながつないで自分に回してくれた。みんなのために、チームのために…。そう思えた。だから受け身になることなく攻めていけた」

打席に入る直前、闘志に火がついた。9回2死一、二塁から7番坂本がストレートの四球を選び、次打者席に控える木浪に指をさしてほえた。「任せた!」の言葉に「よしっ!」と返した。「フォアボールになった瞬間、ここで絶対決めようと思いました」。2死満塁、広島守護神栗林の6球目。カウント1-2から142キロの高め半速球を振り抜き、歓喜を呼び込んだ。今季レギュラーシーズン満塁時は打率4割4分4厘。「満塁男」はお立ち台でも「(満塁で)打てる気がします」と笑った。

前日18日の第1戦でも坂本の気迫を間近で感じていた。先輩は同点の5回1死から死球を受けると、痛みに苦しむどころかバットを投げて気を吐いた。「デッドボールが当たってからもああいう表情で。なんとか生かそうと、つなぐイメージがより強くなった」。気迫に応え、直後に右前打で好機拡大。一挙3得点の勝ち越し劇を呼んだ。普段から「緊張しやすい」性格。ひときわ大きな重圧を感じたCS初戦で「ああいうプレーができたのは大きな成長」。確かな手応えをこの日も結果につなげた。

岡田監督も「ずっと1年間、8番木浪がキーポイントになっていたんだけど。ここにきて本当、よく打ちましたよね」と絶賛。チームはアドバンテージを合わせて3勝となり、日本シリーズ進出に王手をかけた。プレーオフ、CSで無傷の王手をかけたチームのCS突破率は100%。お立ち台では虎党へ言い切った。

「まあ明日で決まりますけど…。今日みたいな足の震える応援をよろしくお願いします!」

9年ぶりの日本シリーズ進出を、3連勝で決めてみせる。【波部俊之介】

▼阪神木浪聖也内野手がサヨナラ安打。プレーオフ、CSのサヨナラ勝ちは今年1Sのロッテ以来16度目で、阪神は初めて。阪神のポストシーズンでのサヨナラ勝ちは、日本シリーズで62年の対東映<1>戦(吉田義男の二塁打)、03年の対ダイエー<3>戦(藤本敦士の犠飛)、同<4>戦(金本知憲の本塁打)に次ぎ4度目。

▼阪神がアドバンテージの1勝を含め3勝0敗。無傷で王手をかけ、20日に○か△で日本シリーズ進出が決まる。シリーズ出場をかけたプレーオフ、CSで、先に王手をかけたチームは昨年まで42チームのうち39チームが進出。77年ロッテ、10年ソフトバンク、12年中日以外は全て勝ち上がり、突破確率93%。無傷の王手(81年日本ハムの○△○を含む)は、22チーム全て突破している。阪神がシリーズ進出なら14年以来9年ぶりとなる。

▽阪神ミエセス(8回代打で登場し、CS初打席で一邪飛)「準備をしっかりしていたので、いい結果が出ればよかったんですけど、チームが勝ったんでよかったです」

▽阪神島本(3番手で登板も2連打を浴びて1死も取れず降板)「明日も続くので、しっかり投げ返したいなと思います」

【動画】阪神木浪聖也サヨナラ打で日本S進出王手!もみくちゃ、隣のノイジーに激しくこづかれる