粘り抜いた先発の阪神伊藤将司投手(27)が、歓喜のウオーターシャワーに加わった。「いつかまざりたいと思っていたけど、CSでまさか…。良かったです!」。7回を5安打1失点で粘り、1-1の状況で降板。相手先発大瀬良との投げ合いで一歩も引かず、サヨナラ劇につなげた。

初回1死三塁で小園に左前適時打を許した。高めのボールを痛打され、岡田監督が「今年、一番悪かったんじゃないか。4、5点取られてるような内容やなあ」と振り返る出来。それでもレギュラーシーズンの広島戦で2戦2勝、防御率1・17の「コイキラー」は健在だった。「なんとか1点で抑えようと思っていた」と立て直し、指揮官は「たいしたもん」と称賛。今季10勝の左腕エースが短期決戦でも力を示した。

先輩の意地を1球1球に込めた。「初戦取ったら楽やなあ」。前日18日の第1戦先発を託された村上には、登板数日前からひそかに必勝指令で圧をかけていた。それが右腕の登板当日、試合開始前にマッサージを受けている姿を見つけると「まあ、負けても俺に任せとけよ!」と温かい言葉に変えた。

伊藤将なりの“ツンデレ”作戦で、CS初登板の村上の心を軽くさせた。後輩が好投したことで「逆にプレッシャーを与えられて、やべえな」とも思っていたが、さすが先輩だ。ぶざまな投球を見せるわけにはいかない。本調子でなくとも貫禄を示した99球だった。

5回1死では8番会沢の三塁側に高くはずんだ打球を猛ダッシュで捕球。素早く一塁へ転送してアウトをもぎ取った。7回無死一塁では末包の強烈なライナーに反応してキャッチ。投直に仕留め、ダブルプレーを完成させた。「うまく入りましたね、(グラブを)出したら捕れました」。いつも通り淡々としのぎ続けた。3連勝での突破へ、バトンをつないだ。【中野椋】

▽阪神岡田監督(先発の伊藤将について)「今年、一番悪かったんじゃないかな。ブルペンから。でも、まあ7回までか、1点でね、しのいでしのいで。今日はちょっとヤバイなあと思ったけどね」

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