富士大(北東北2位・岩手)が東北福祉大(仙台6大学1位)に3-1で勝利し、2年ぶりの決勝進出を決めた。佐藤柳之介投手(3年=東陵)が雨天の中、7回3安打11奪三振無失点で先発の役割を果たした。第2試合の八戸学院大(北東北1位・青森)-東日本国際大(南東北1位・福島)は22日に雨天順延。決勝は23日に行われる。

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佐藤の安定した投球が、名門を苦しめた。4回まで6奪三振を含む完全投球で先に主導権を握らせず、3点をリードした6回無死一塁からは3者連続三振。7回2死二塁では、マウンドで安田慎太郎監督(38)から「この回まで」と登板起用とともに、「このバッターに全部(力を)使っていいから、しっかり抑えてくれ」と伝えられ、この日11個目の三振を奪うと、グラブをたたいて喜んだ。以降は安徳駿投手(3年=久留米商)が2回1失点でしのぎ、優勝への最初の難関を突破した。

6月の全日本大学野球選手権4強入りに貢献し、今秋は最優秀防御率賞を受賞した佐藤。9月中旬に終えたリーグ戦後は、投球時の左腕の位置を修正し、先発登板を迎えた。雨天でも伸びのある直球を内外へと丁寧に投げ込み、課題だった四死球は「0」。安田監督は「リーグ戦はあまり良くなかったが、調子をこの1カ月で上げてきた。コントロール、質ともに良かった」と評価した。

今大会は東北3連盟の各リーグ優勝校、開催連盟の準優勝校で明治神宮野球大会(11月15日開幕、神宮)の出場権を争う。同準優勝の富士大は決勝進出を決めたが、決勝は相手チームに1勝のアドバンテージが与えられるため、2勝しないと神宮切符を獲得できない。佐藤は「厳しい戦いになる。自分が投げる機会があれば、(失点は)0で抑えられるようにしっかり調整したい」。チーム一丸で逆境を乗り越え、“下克上”での歓喜をつかみにいく。【相沢孔志】