侍ジャパン井端弘和監督(48)が4番にDeNA牧秀悟内野手(25)を指名した。

24日、24歳以下または入団3年目以内で臨む「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(11月16~19日、東京ドーム)のメンバー26人を発表。都内で会見に臨み「4番牧」構想を明かした。世界一まで駆け上がった3月のWBC組からは唯一選出し、侍の遺伝子を継承していく。チームは11月6日から宮崎秋季キャンプを行い、同16日の初戦台湾戦から新世代の幕を開ける。

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侍の新指揮官が4番に据えたのは、世界一を知る牧だった。井端監督は会見に臨み「4番牧選手。1年間見てきて、いいときも悪いときもまったく変わらないっていうところが、彼の一番素晴らしいところ。彼を4番にしたらチーム的に落ち着く。彼しかいない」と指名した。DeNAでは全143試合に4番でスタメン出場。3月に世界の頂点に立ったWBCメンバーから唯一、選出した。

24歳以下の若侍の中で、初めて日の丸を背負う選手が大半を占める。「選手から選手へ伝えることが、一番若い選手に伝わりやすい。私も若い頃に国際試合で何も分からない、周りも分からなくてかなり苦労した。1人は絶対呼びたいと思っていた」。WBCでは初戦中国戦でチーム第1号を放って勢いづけ、大会を通して二塁、一塁、指名打者とユーティリティーに貢献。大谷、ダルビッシュらとともに頂点まで駆け上がった侍の遺伝子を継承し、来年11月のプレミア12、さらに26年WBCを見据えた伝道師としての役割も託した。

今季は打率2割9分3厘、29本塁打、103打点で打点王のタイトルを獲得。何よりも、シーズン通して崩れない安定感にほれ込んだ。2試合連続出塁ゼロだったのは開幕序盤の2度のみで、5月以降は1度もない。「彼の明るさで、若い選手を引っ張っていってほしい」と、実力、実績、キャラクターを高く評価した上での決断だった。

4番以外は11月6日から始まる宮崎秋季キャンプで見極めていく。スピードとパワーを駆使したスタイルは前体制から継承しながら「固定観念は僕の中で外して、あくまでもいい選手、打てる選手、今24歳以下でいい順に選んだつもり。若い選手というのは乗せたら実力以上のものが出る」。伸び盛りの新世代が、4番牧を中心に再び世界一へ歩み始める。【栗田成芳】