鷹の侍出てこいや! ソフトバンク小久保裕紀新監督(52)が若鷹の台頭を切に願った。

井端ジャパンの初陣となる「アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(11月16日開幕、東京ドーム)の出場選手26人が24日に発表されたが、ホークスは12球団で唯一0選出。スムーズに進んでいない世代交代が浮き彫りになる中、元日本代表監督の指揮官は若鷹の底上げを期し、常勝軍団づくりに挑む。

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ソフトバンクが厳しい現実を突き付けられた。この日発表された11月の侍ジャパンメンバーに、ソフトバンク所属の選手はいなかった。参加資格の24歳以下、または入団3年目以内、29歳以下のオーバーエージ枠にも選出されなかった。福岡での就任会見から一夜明け、みやざきフェニックス・リーグで指揮を執った小久保新監督は「寂しい話ですが、これが現実」と受け止めた。

五輪の野球競技にプロが初参加した00年のシドニー五輪以降、主要な国際大会で鷹ナインが選出されなかったのは初めて。かつては何人もの選手を輩出して日本代表イコール、ホークスのイメージだったが一変した。13年から17年まで侍ジャパンを率いた指揮官は「今の主力と(若手が)だいぶ(差が)空いてしまっている」と実力格差を認めざるを得なかった。

スムーズな世代交代ができていない課題が、改めて浮き彫りになった。今季は35歳の柳田、33歳の中村晃、42歳の和田、31歳の有原らの中堅、ベテランが投打の中心でけん引。主力の高齢化が進む半面、今回の参加資格の24歳以下、または入団3年目以内のレギュラークラスが不在という負のチーム事情が見えてくる。だが、4年ぶりのリーグV奪回を目指す上で、若手の台頭は不可欠。「主力がチームの先頭に立って引っ張る」という王イズムを受け継ぐ指揮官にとって、次代の主力が台頭していない現実は見過ごせない。

若鷹にムチを入れるべく「打球速度も1軍最低ラインが160キロ。150キロがマックスだと永遠に1軍に行けることはない。はっきり選手に言っています」とデータも用いて1軍昇格基準を設定。「ファームで首位打者を取っても1軍でチャンスゼロでしたじゃ、次どこ目指せばいいの? ってなる。そこの評価の統一は大切」。チーム内で明確な共通指標を定め、モチベーションを上げていく。

今季終盤にプロ初本塁打を放った20歳の井上は「それ(代表入り)が目標なので。頑張りたいです」と決意を新たにした。若鷹の底上げ、主力を張れる選手の台頭がチーム強化の近道。小久保ホークスは正面から難題と向き合い、常勝軍団づくりを目指す。【只松憲】

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