村上2世だ! 「プロ野球ドラフト会議supported by リポビタンD」が26日に都内で開催され、阪神は1位で青学大・下村海翔(かいと)投手(4年=九州国際大付)の指名権を獲得した。身長174センチと小柄ながら最速155キロの直球やカットボールが武器で、目標に今季大ブレークした村上頌樹投手(25)を掲げる。兵庫・西宮市出身の虎党右腕の1本釣りに成功した岡田彰布監督(65)はしてやったり。意気揚々とあす28日開幕の日本シリーズに臨む。

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名前が呼ばれた瞬間、こわばっていた下村の表情が緩んだ。「交渉権獲得」のアナウンスが流れると、はじけた笑顔に変わった。「正直、指名された瞬間は頭が真っ白になったというか。その時の光景も覚えていないくらいで」。隣に座っていた広島1位の常広と、お互いをたたえ合った。

身長174センチと小柄ながら、右腕から最速155キロを繰り出す。目標にする選手には東都リーグの先輩でもある阪神村上。「村上さんのようなピッチャーを目指して頑張りたい」と宣言した。村上は身長は175センチながら、威力ある真っすぐを武器に大ブレーク。最優秀防御率のタイトルを獲得した。

「今まで(身長が)高くないことで劣等感を感じたことも正直ありました。でもプロの舞台に入ることができたので自分が活躍して、同等の身長の選手や子どもたちに『体がそこまで大きくなくてもプロでしっかり活躍できるんだぞ』というのを見せられるように頑張っていきたい」

自分より1センチだけ高いタテジマの先輩が最高のお手本。その背中を追い、体格に恵まれない野球少年たちに夢を与える意気込みだ。

青学大では1年秋からベンチ入りしたが、その年の12月に右肘のクリーニング手術と軟骨再生手術を受け、約1年間のリハビリを経験。走り込みなどの追い込みで鍛え直し、3年春に復帰した。4年時には春夏計12試合に登板し、常広とともにリーグ春秋連覇に貢献。同年7月に行われた日米大学野球選手権大会ではMVPも獲得した。

兵庫・西宮市出身で幼い頃から大の阪神ファン。本拠地甲子園は実家から自転車で通える距離にあり、「友達とよく行っていた」スタジアム。「アレ」の瞬間も大学寮で見届けた。好きだった選手は「金本選手です」と明かし、いよいよ自身も憧れのタテジマに袖を通す。

九州国際大付時代は甲子園に出場できなかった。「ずっと観客席で見ていた。人よりも(甲子園に)に行っている回数は多い。憧れは強いです」。これからは観客として見ていたマウンドが仕事場。「関西魂で頑張ります!」と力強く言った。1年目から盤石な投手陣に割って入り、V2に貢献する。【波部俊之介】