阪神佐藤輝明内野手(24)が、復活の兆しをみせる一打を放った。

両軍無得点の2回1死。オリックス田嶋の初球、高めの甘い133キロカットボールを振り抜いた。打球はグングン伸びて左中間の芝生で弾み、迷いなく二塁へ激走。自身9打席ぶりのヒットで、日本シリーズ初の長打に「良かったと思います。それ(初球から)はいつも思っています」。得点にこそつながらなかったが、久々の快音に甲子園が沸き上がった。

前夜の第4戦は苦杯を喫した。3打席連続三振で、守備では2点リードの7回に三塁線のゴロを捕球ミスする痛恨の失策を犯した。直後に同点に追いつかれ、懲罰的にイニング途中で交代。ベンチから戦況を見守った。岡田監督は前夜の試合後、「奮起待つて、もうあんまり試合ないで。そんなもん」と厳しく指摘。ベンチスタートも予想されたこの日は、前夜に続いて「6番三塁」で出場。指揮官の起用にバットで応えた。

発奮材料があった。前日1日に母校近大の硬式野球部の光元一洋コーチ(48)が、同大学の新監督に就任することを発表。在学時、打撃コーチと部員として二人三脚で技術を磨き、ロングティーなど日々の鍛錬に付き合ってくれたという恩師の1人。野球以外で礼儀も学んだといい、「お世話になった方です。自分も頑張ります」と刺激を受けていた。祝砲とはいかなかったが、復活の一打と勝利が何よりの吉報だ。【三宅ひとみ】

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