二塁送球は1秒75を誇り、今秋から主戦捕手の大商大・蜷川大(2年=広陵)が10回にスクイズ失敗ののちに、右前へ劇打。試合を決めた。

じっと狙い球を定めて最後の打席に立った。「相手はいいピッチャー。スクイズ失敗してしまったけど、狙っていたスライダーを打てた」とニヤリ。中学時代の先輩でDeNAドラフト1位でENEOSの度会隆輝内野手(21)から、携帯電話越しに打撃のアドバイスを受けたことがあった。「バッティングがすごい人で。(度会の)練習動画も送ってもらっていました。モチベーションになりますね」と語った。

出場機会が増えたこの秋。立ち振る舞いは、目を見張るものがある。「試合を任された方が、成長できるタイプ。出さしてもらっていることが、一番ありがたい」。

ハイレベルな先輩投手の性格に合わせて、配球も研究中だ。7回から登板した西武2位の上田大河投手(4年=大商大高)について話が及ぶと「上田さんには、キャッチャーとして自分の意見を言いつつ、試合をしながら上田さんから、配球や攻め方を教えてもらっている」。

上田との共同作業は、従来にない考え方を吸収する日々だった。「これまで自分がやっていた配球から、上田さんの考え方を理解して、上田さんがうなずいて抑えてくれるとうれしい」。救援した右腕と乗り越えたピンチに、堂々としたガッツポーズで吼えた。

「自分は元々気が強い方なので、先輩によっては『ちゃんとしないといけないですよ』って言うこともあります(笑い)」。しっかり者の女房役が、夢の神宮行きへリードする。【中島麗】

◆蜷川大(にながわ・だい)2003年(平15)11月4日生まれ、千葉県・市原市出身。牧園小時代にちはら台ファイターズでOBの郡司裕也(日本ハム)に影響を受けて捕手を始めた。ちはら台西中時では佐倉リトルシニアで捕手。広陵(広島)で、1年秋に背番号12、2年秋に背番号2でベンチ入り。甲子園出場経験はなし。右投げ右打ち。遠投110メートル。172センチ、78キロ