牧先輩、一緒にお立ち台に上がりましょう。森下先輩、負けませんよ-。

DeNAドラフト5位の中大・石田裕太郎投手(21)が10日、都内のホテルで契約金3850万円、年俸780万円で仮契約を結んだ。

石田は最速149キロの直球に、スライダーやシンカーなど多彩な変化球を操る。今秋のリーグ戦、10月18日の東洋大戦ではチームの1部残留を決める完封勝利を挙げるなど、ここ一番での勝負強さも光る。DeNA牧、阪神森下はそれぞれ中大の3学年、1学年先輩に当たる。東京・八王子の中大グラウンドで共に汗を流し、プロの世界へ羽ばたいた2人の先輩たちへの思いを明かした。

まずは牧先輩。中大に入学した際の主将で、既にドラフト上位候補と言われていた。「偉大な方というか、すごいなっていう目でしか見てなかった」。だが寮で誘われて「マリオカート」などゲームをするうちに、話かけることができるように。1年から登板機会を得ると、シート打撃で対戦した後にはアドバイスを求め、成長の“肥料”を得た。

それから3年以上が経ち、再び同じユニホームを着る。ドラフトで指名されると電話で祝福を受けた。「牧さんとお立ち台に上がれたらうれしいです」と、新たな目標が生まれた。

次に森下先輩だ。阪神が日本一となり、森下が新人最多打点記録を更新した日本シリーズはテレビで観戦した。第2戦まで9打数1安打と苦しみながらも結果を残した姿に「1年目からあの舞台に立てて、レベルの高いピッチャーからヒットも打ってましたし、やっぱりああいう立ち姿っていうのは見習うべき部分がある」とリスペクトを示した。大学時代はシート打撃で対戦経験があり「抑えてるので」と好相性の様子。だが1球目に何を投げるか聞かれると、数秒考えた末に「ハッ」と何かひらめいた表情を見せ「これ言っちゃうと森下さん打っちゃいそうなので。その時の得意な球で勝負したいと思います」。第1球に注目だ。

いよいよ一ファンを“卒業”する。横浜市出身で、生粋のDeNAファン。チームは2年連続でCSファーストステージで敗退しており「来年は自分がやってやろうかなって気持ちです」と今度は選手としてファンを喜ばせる決意だ。

森下先輩を封じ、今季阪神戦打率3割5分8厘、7本塁打23打点をマークした牧先輩を味方に付けて、お立ち台で「アイラブ、ヨコハマ~~~!」と愛を叫ぶ。(金額は推定)【黒須亮】