日本ハムのドラフト1位・細野晴希投手(4年=東亜学園)が大学最後のマウンドに2連投で臨んだが、勝利に導くことはできなかった。タイブレークの延長10回1死満塁から、二ゴロ間に1点。なおも2死二、三塁から右前適時打を許した。延長10回を投げ抜き2安打2失点も、133球で力尽きた。

このままでは終われない-。前日の2回戦で先発したが、1回2/3で降板し、チームも敗れた。この日の朝、井上大監督(50)は大学最後のマウンドへ臨むエースに、思いを託した。「昨日の、あんなぶざまなピッチングではプロに行けないぞ。最後にエースらしいところを見せて終われ」。

細野の心に火がついた。「僕としては後がなかった。ここで変なピッチングはできなかったので、何としても抑えようと思って投げました」。「何かを変えたかった」と心機一転、スパイクとグラブを前日とは違うものに変更して試合に臨み、初回からストライク先行。得意のスライダーを軸に、力のある真っすぐで打たせてとった。

9回までわずか1安打投球で、この日の最速は151キロ。「昨日はストライクを取らないといけないという考えだった。今日はボールでもいいや、と。気楽に投げられました」。足を上げた時に1度目を切るなど、投球に変化を加えた。7四死球も、走者を背負うとギアを上げて腕を振り、奪った三振は11。井上監督は「今日は最後までマウンドに行く気はありませんでした」。信頼感の表れだった。「本当に期待に応えてくれた。勝たせてやりたかったですね」と悔しがった。

これで1勝1敗1分。第2戦、第3戦と連投した細野は14日の第4戦は、チームメートにマウンドを託す。「プレーでみんなに貢献するというところでは、エースとしての活躍ができなかったと思います」と集大成のマウンドを総括した。

次はプロのマウンドだ。「最後の最後で勝てないというのは、まだ自分に足りないところがあるのかな、と思いました。ケガなく1年、やることを目標にやっていければと思います」。好投したが、勝ち運を味方につけることができなかった。この悔しさを糧に、プロで飛躍する。