そら呼ぶよ! 阪神岡田彰布監督(65)が13日、高卒新人の門別啓人投手(19)を来春の沖縄・宜野座での1軍キャンプに招集する考えを明かした。高知・安芸での秋季キャンプで、最速150キロ左腕の投球練習を見てホレボレ。実戦で先発テストを課す意向で、結果次第で開幕ローテ入りも夢ではない。投手で高卒2年目以内の1軍キャンプ抜てきは、21年の西純以来3年ぶり。現在2軍扱いの選手では内定第1号で期待の大きさをうかがわせた。

   ◇   ◇   ◇

最高気温15度で寒風も吹いた安芸で、門別のブルペン投球を見た岡田監督が目を輝かせた。「そらもう呼ぶようになるやろな、当然、おーん。他のピッチャーの刺激にもなるしなあ、今いてる1軍のピッチャーの」。来年2月に沖縄・宜野座で行う春季キャンプの1軍スタート内定を明言。現在2軍扱いの選手の中で招集第1号に指名した。

2度見たブルペン投球が決め手だった。体作りも兼ねて、2日に1回の投球練習を継続。この日は岡田監督が正面から見守る中、真っすぐのみ51球を投じた。最速150キロ左腕は表情を崩さず堂々とした投げっぷりで、安定感抜群の制球力も披露。指揮官は「いやいや、ええよ。この間(11日)もよかったよ。今日もよかった。力あるよなあ、ストレート。自分が腕振って投げたら、いいボールがいくっていうのがわかってるんちゃう?」と絶賛の嵐だ。

1年目から大器の片りんをみせた。リーグ優勝決定翌日の9月15日の敵地広島戦で1軍デビューし、2番手で3回を3失点。プロ初先発した同30日の広島戦では、援護なく初勝利はお預けとなったが、5回7安打無失点と好投した。指揮官は「ファームから推薦で一番良かったから、あないして1軍で投げさせたんやから。高卒1年目であれだけ投げられたら十分やで。そら自信はついているやろな」とこの秋も進化中の投球に目を細めた。

キャンプでは実戦チャンスの与える。「まあどっちみち、あのへんの若いのは、最初はやっぱり先発やわな。練習試合とか、オープン戦でも最初の頃どんどん投げさしても十分いけると思うけどなあ」。阪神先発陣は村上、大竹、伊藤将の10勝トリオを筆頭に青柳、才木、西勇らがひしめく激戦区。西純も控え、ドラフト1位で青学大の155キロ右腕、下村海翔投手(21)も新加入してくる。だが、門別が紅白戦を初めとする実戦で結果を出せば、開幕ローテ入りも夢ではない。

1軍キャンプ内定に門別は「そこは行きたいとずっと思っていた」と笑顔。ブルペンでは「こっちに目線来てるなって時に、どれだけいいボールを投げられるかって感じでやってます」とアピール成功にしてやったりだ。当面の目標は「先発ローテに入ること」ときっぱり。新星台頭で2年連続日本一への視界もぐっと開ける。【古財稜明】