移転後初の道産子開幕投手が、8年ぶりのリーグ制覇へスイッチを入れる。日本ハムのファンフェスティバル「F FES」が23日、新球場エスコンフィールドで初開催され、新庄剛志監督(51)が、北海道鹿部町出身の伊藤大海投手(26)を来季3月29日、ロッテとの開幕戦(ZOZOマリン)の先発投手にすると発表した。21年東京五輪、23年WBCと国際舞台にも動じない強心臓右腕が、19年以来5年ぶりの開幕戦勝利を引き寄せる。

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熱い男が3・29に照準を定める。今季最終登板だった9月25日の楽天戦前の練習中、伊藤は突然、新庄監督に両肩をつかまれ、伝えられた。「開幕を頼む」。その言葉がオフの大きなモチベーションになった。開幕投手を務めるのは、初めて。「やってやるぞという強い気持ち。監督との約束で誰にも言えなかった。これでスッキリした」と、安堵(あんど)の表情を口にした。

ダルビッシュ、大谷ら球団を支えてきた大投手が担ってきた大役。04年の北海道移転後、道産子初の開幕投手だ。「特別なもの。1年で12人しかいないポジション。夢でもあったので。そこで1勝目を取るというのはすごく価値があること。チーム的にも自分的にもいい流れをつくれたら」と気を引き締めた。

緊迫する場面であるほど、ギアが上がる投手だ。21年東京五輪金メダル、23年WBC優勝。ピンチで登板しても動ぜず力のあるボールを放り、世界一に貢献してきた。「特別な舞台に燃えるものはありますし、そういうのに打ち勝ってきた自信もあるので」。建山投手コーチも「彼の強気な感じとか、そういったところは向いてるんじゃないかな」と太鼓判を押した。

9月の最終登板から既に来季開幕を見据え準備を始めている。WBCがあった23年を除き、1、2年目は原則、開幕に合わせベストに仕上げるイメージで調整していた。今オフは「開幕ぐらいの出力が既に出ていて、微調整を最後の1、2試合にするぐらいでシーズンインした形がいい。来季はもう完璧な状態で行けたらなっていう風に思います」。前倒しして100%に仕上げ、細部まで入念に磨き上げる。【永野高輔】

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