阪神のドラフト1位青学大・下村海翔投手(21)がミスタータイガース以来の偉業に挑む。横浜市内のホテルで入団交渉を行い、契約金1億円、年俸1600万円、出来高は5000万円で仮契約を交わした。「点を取られなければ試合には負けない。できるだけ失点を少なくしてやれば、チームが勝つ確率も高くなる。そこは目指していきたい」と防御率にこだわる考えを明かした。

昨季は青柳、今季村上と2年連続で阪神勢が最優秀防御率のタイトルを獲得。下村も将来的な目標として掲げ、1年目から「常に目標は持ってやりたい」と意気込んだ。新人でのタイトル獲得となれば、球界で99年上原浩治(巨人)以来、球団では59年村山実以来65年ぶりの快挙になる。

青学大4年の春季リーグでは5試合に登板し、31回2/3で防御率0・85。好成績ながら、同0・82の同大学の松井大輔投手(4年)にわずかに及ばず、2位に終わっていた。「あと1イニング投げていたら自分が最優秀防御率だった。あとアウトひとつ、ふたつ取れたらと思うと…。運がなかったなと思いました」。

プロでの快挙達成へ、意識するのは四球を減らしたストライクゾーンでの勝負だ。「大体、3分の2でストライクを投げられれば試合はつくれると(大学で)言われている。練習では最低限3分の2。その中で、10球中6球じゃなくて7球、8球と思い通りに投げられるように練習でやっています」と制球力に磨きをかける。

ドラフト指名時には好きな芸能人に挙げていた齋藤飛鳥(25)から、インスタグラムのストーリーズで祝福された。「予想していなかったことが起きた」。活躍次第で共演の夢も広がる中、「そういう機会があれば、お礼を言えればいいかなと思っています」と笑みを浮かべた。

ルーキーイヤーからの活躍へ、オフは投げ込みなどで重点的に体力強化を図る。盤石投手陣の一角として、ビッグドリームを目指す。【波部俊之介】

 

▽阪神吉野スカウト 制球力が高いピッチャー。そのあたりがプロで通用すれば、おのずと数字はついてくると思う

 

◆下村海翔投手(しもむら・かいと)2002年(平14)3月27日生まれ、兵庫県西宮市出身。小学3年時から「甲武ライオンズ」で軟式野球を始め、中学時代は「宝塚ボーイズ」に所属。高校は九州国際大付に進学し、甲子園出場経験はなし。青学大では4年時に計12試合で5勝を挙げるなど春秋リーグ連覇に貢献。最速は155キロ。174センチ73キロ。右投げ右打ち。遠投120メートル。