楽天が、後輩複数選手からパワーハラスメントを訴えられていた楽天安楽智大投手(27)を自由契約としたことを11月30日、明らかにした。森井誠之球団社長(49)が楽天モバイルパークで記者会見を行った。報道されていた暴言、下半身露出の強要など一連の行為を「ほぼ事実」と認定。約10人が直接被害を受けたという。この日が提出期限だった保留者名簿から外して自由契約とし、来季の再契約の可能性も否定した。選手、スタッフら137人に行った調査では、安楽以外のパワハラ行為は確認されなかったという。

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安楽がパワハラにより、楽天のユニホームを脱ぐこととなった。1時間24分と長時間に及んだ会見を通じて重大な結論が示された。森井球団社長は「これまで報道がなされていた事象について、安楽選手に関して、ほぼ事実ということが判明しました」と認めた。この日は来季戦力として球団が契約する権利を持つ保留者名簿をNPBに提出する期限。「本件に関して見過ごすことのできない重大な事象と捉え、本日提出期限の保留選手名簿への記載をしないという結論に至りました」と自由契約とすることを明かした。

安楽は12月1日に自由契約選手として公示される。ルール上は名簿から外れた場合でも、楽天を含む全球団との契約は可能だが、楽天としては来季再契約の可能性は否定した。

自由契約となる旨は同社長が会見前日の11月29日に安楽に直接伝えたという。本人は「かしこまりました」と返答。「自分としてはとにかく謝罪をしたい。社長も含めて皆さまにはまず、ご迷惑をおかけしました」という言葉があったという。11月限りで球団の契約選手ではなくなるが、安楽といつでも連絡を取り合える態勢をとり、被害選手へ謝罪する場を設けるサポートは続けていく。

安楽を巡っては、暴言や人格否定、ロッカールーム内で倒立させて下半身露出を強要、食事の誘いを断った日の深夜に執拗(しつよう)に電話をかけるなどのパワハラ被害を訴える声が、複数の後輩選手から上がっていた。球団は本人に自宅待機を命じ、25日に予定されていた契約更改は無期限の延期。この日までに3度のヒアリングを行っていた。

また、選手、スタッフら137人にアンケートを実施した。回答率92%で直接的な被害を受けたと自覚している選手は約10人。被害を見た、聞いたとの回答は約40人いたという。

球団は騒動を受けてハラスメントの相談窓口を設置し、今後はキャンプ前にハラスメントに関する講習について専門家を呼んで行う予定。パワハラと厳しく向き合う姿勢だ。

 

◆安楽智大(あんらく・ともひろ)1996年(平8)11月4日、愛媛県生まれ。小2から野球を始め、道後中時代は松山クラブボーイズに所属。済美では2年春夏に甲子園出場。2年春は5試合で772球を投げ準優勝に貢献した。14年ドラフトでヤクルトと2球団競合の末、楽天に1位で入団。15年10月5日ソフトバンク戦でプロ初登板初勝利。20年に中継ぎ転向。21年からセットアッパーとして定着し、3年連続で50試合以上に登板した。186センチ、87キロ。右投げ左打ち。

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