侍ジャパン井端弘和監督(48)が、輝きを放つ“原石”のプレーに目を光らせた。2日、松山・坊っちゃんスタジアムで「大学代表候補合宿」を視察した。紅白戦3試合(6回変則)を見届け「先々を考えれば、プロ行ってすぐ(代表に)入ってくる選手もいる。見といて良かった」。来秋ドラフト候補に挙がる大学3年生を中心に、24大学から集まった44選手に熱視線を送った。

同監督の現役時代と同じ遊撃手がひときわ光った。早くもドラフト1位候補の呼び声が高い明大・宗山塁内野手(3年=広陵)に「どうしてもショートやっていると、そっちに目がいきがちで」と注目。7月に行われた日米大学野球選手権に向けた合宿では直接指導した経緯もある。「バッティングもいいけど守備は十分。間近で、真横で見て、後ろから見たけど、何も言うことがなかった」と完成度の高さに脱帽した。

遠くに石鎚山を臨む球場で、代表とは無縁だった原石も、いきなりベールを脱いだ。愛知工大・中村優斗投手(3年=諫早農)が第3試合で先発すると、圧倒的な投球を披露。12月にして最速を3キロ更新する157キロを計測し、2回無安打無失点1奪三振に抑えた。井端監督は、この春に「いい投手がいる」と情報をキャッチし名前は把握していたが、直接見るのは初めてだった。

だから試合後、全選手に呼び掛ける言葉も自然と熱を帯びた。3年後は26年WBC、そして5年後には28年ロサンゼルス五輪がある。「ちょうど皆さんが主力になってもらわないといけない。それを頭に入れて、これからも頑張って欲しい。これからずっと、この1年見てますので、頑張ってください」。発掘を終え、大きな収穫を得た視察だった。【栗田成芳】