大ブレークの9勝で新人王に輝いたオリックス山下舜平大投手(21)が3日、大阪市で契約交渉を行い、3300万円増の年俸4000万円で更改した。憧れてやまないパドレス・ダルビッシュ有投手(37)の代名詞にもなっている背番号「11」への変更を熱望し、許可された。念願の背番号とともに大先輩の背中を猛スピードで追いかける。

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球界をざわつかせた1年の最後に、ビッグなクリスマスプレゼントが待っていた。山下は球団歴代5位の471%昇給に加え、背番号変更の希望がかなった。「11」は心から憧れ、すべてを参考にするダルビッシュが日本ハム時代から今もパドレスで背負う。同じく目標とする大谷翔平も日本ハムで身にまとった。

「憧れの人たちもつけている番号」と問われると「え、そうですか?」といたずらっぽく笑った。「11」は野球人生で初めて。入団から3年つけた「12」から異例の“微減”だが、山下にとっては別もの。「中学くらいからずっとつけたかった。投手らしいし、カッコいいじゃないですか」と少年のように目を輝かせた。

山崎福の日本ハム移籍で「11」が空いた。古くは佐藤義則氏らエース級が背負ってきたが、活躍1年目の21歳が受け継ぐことに異論はないだろう。異例の開幕投手として1軍デビュー。プロ初勝利から5連勝で強烈な印象を残した。大谷を思わせる190センチ、100キロ超の体格とフォームから160キロを計測。最後は腰椎分離症で離脱したが、16試合で9勝3敗、防御率1・61。ダントツ得票でパ・リーグ新人王を獲得した。

満足はしない。ほぼ直球とカーブだけのストロングスタイルに元巨人江川卓氏を重ねる声もあったが、「その2つをより生かす球がほしいと思っている」と明かす。来年は「投げ抹消」ではなく、1人前のローテ投手として働くつもり。自覚が表れた新球プランだ。

「福也さんも(山本)由伸さんもいない。中6日で1年間回ってチームの優勝に貢献すると(球団に)約束したので、全力で準備したいです。ケガも順調に治っていますし、また違う姿を見せられるようにしたい」。大きな背中をもっと輝かせる2024年にする。【柏原誠】(金額は推定)

■球界の主な背番号11

近年はメジャー挑戦する投手が多く、野茂英雄(近鉄)大塚晶則(近鉄)川上憲伸(中日)ダルビッシュ有(日本ハム)大谷翔平(日本ハム)がいた。他には巨人で歴代最多221勝の別所毅彦、77~98年まで22年にわたってつけて165勝した佐藤義則(オリックス)や、最多勝5度で180勝の斎藤雅樹(巨人)など。唯一永久欠番になっているのが村山実(阪神)。阪神では11番は長続きしないというジンクスがあったが、自身が昭和11年生まれというのもあってこだわってつけ、222勝を挙げた。