オーケストラ投法で連覇! 阪神大竹耕太郎投手(28)が、音楽の世界からさらなる飛躍へのヒントを得た。前日3日に大阪城ホールで行われた毎年恒例「サントリー 1万人の第九」にサプライズ参加。熱烈な阪神ファンで指揮を務める佐渡裕氏が舞台上で語った「More than music」という言葉が、心に響いたという。

「音楽だけど、音楽以上の(ことを感じさせる)というか。魅了しようと思ってやるもんじゃないけど、自分が目の前のことに集中してやったら、(周囲は)勝手に盛り上がっている、そういうイメージです」

まずは目の前のことに集中。その姿が誰かの希望につながると信じる。この日も早速、甲子園に5時間以上滞在しトレーニングに励んだ。今季12勝を挙げ18年ぶりのリーグ制覇、38年ぶりの日本一に貢献した左腕は来季、甲子園をオーケストラ会場のような一体感に包み勝利へと導く覚悟だ。

「観客も含めた一体感がすごい。鳥肌がすごかったし、人の心動かすという点では同じ。自分もプレーでつくっていけたら」

大阪城ホールの観客席最前列で鑑賞。佐渡氏の指揮者としての動きにも注目していた。「指揮者と演奏者の呼吸の合わせ方が、モーションや息遣いで、すごくうまくやっている」。一方、自身に置き換えると「僕はバッターと息を合わせないようにする仕事」と認識。「タイミングの合わせ方は野球視点で見て楽しかった」と刺激を受けた。

普段は就寝前などリラックスしたいタイミングで、久石譲氏の作品などでクラシック音楽を楽しむ。「1万人の第九」は知らなかったというが、「六甲おろし」も演奏され「うれしかったです」と満喫した様子だ。これからも岡田監督のタクトに応え、聖地で勝利の六甲おろしを奏でさせる。【中野椋】

 

◆サントリー1万人の第九 今年で41回目。ベートーベン作曲の交響曲「第九」を、プロのソリストのほか、ほぼ大多数を一般公募の参加者が占める約1万人の合唱団で歌う企画。1983年に「大阪21世紀協会」が呼びかけ、故山本直純さん指揮のもと、同年12月に第1回開催。1万人は毎年夏前に募集。リーグ優勝した03年には阪神から八木、矢野両選手がゲスト参加した。今年はコロナが明けて4年ぶりに合唱団が一堂に会し、6歳から96歳までで「1万人」が構成された。

◆佐渡裕(さど・ゆたか)1961年(昭36)5月13日生まれ、京都市出身。堀川高(現京都堀川音楽高)を経て京都市立芸術大音楽学部卒。故レナード・バーンスタイン、小澤征爾らに師事。89年ブザンソン指揮者コンクール優勝。パリ管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団などに多数客演。99年から年末恒例の「サントリー1万人の第九」で総監督・指揮。

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