現役ドラフトが8日、行われた。西武の愛斗外野手(26)はロッテへの移籍が決まった。

プロ8年目は開幕戦で本塁打を放った。春先は1番打者としてチームを引っ張ったものの、調子を落としたこともあり6月以降は出場機会が減っていった。

得意とする右翼守備では「投手の人生を背負って守ってるって気持ちを1球も忘れずにやりたい」と一瞬たりとも気を抜かず、集中力を研ぎ澄ます。打球をこぼさないよう、重めのグラブを徹底して仕込む。

時に野性的なチカラの魅力は、仲間も知っている。“源田たまらん”でおなじみの名手、源田壮亮内野手(30)も認める。

「うまいです。反応がいいし、投手が納得するっすよね。あいつが届かなくてポテンになっても、最後まで全力でボールを追うし、みんなが納得する」

あいつのために、あの人のために-。相手から自分への思いを意気に感じ、強い力に変えられる青年だ。8年前の“初めてのドラフト”の時もそうだった。

大阪出身で花咲徳栄(埼玉)の門をくぐった。「僕は岩井先生に作り上げられました」というほど今でも感謝を欠かさない。

ドラフト会議の日、野球部寮の監督室で1人、テレビを見た。西武4位指名。後輩への練習指導を切り上げてきてくれた恩師が男泣きする姿に「それだけ命かけて育ててくれたんだなって。よっしゃやってやるぞ!!って思いましたね」とたかぶったという。

普段はもの静かで、ベンチで声を張り上げるようなタイプではない。職人気質ながら中は熱く、強い。恩師の岩井監督も「あんなハングリーなやつ、今どきはなかなかいない」とたたえる。今季も「愛斗じゃないと追いつけない」と周囲から言われた後方への大飛球に追いついたものの、最後にグラブからこぼれ、グラブを地面にたたきつけた。強烈なプロ意識ゆえわずかな乱れが悔しい。

新天地でもきっと、最初からぐいぐいと輪に入り込んでいくタイプではない。ゆっくり、じっくり。熱くひたむきに仲間を支えようとする姿には必ず、信頼が集まっていく。新天地のZOZOマリンはもともと、本塁打や好プレーを見せてきた球場。愛斗が旅立つ。【金子真仁】

【現役ドラフト】詳細まとめ