大昇給祭! 38年ぶりの日本一に輝いた阪神の主力6選手が10日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改した。来季中にも国内FAの権利取得が見込まれる大山悠輔内野手(28)は1億5000万円増の2億8000万円で単年契約。村上頌樹投手(25)はNPB歴代3位、球団史上最高の昇給率となる857%増の6700万円で更改した。外国人選手を除く来季1億円プレーヤーは今季の7人から球団最多タイの10人となることが確実。生え抜きに限れば球団史上最多の9人となる見込みとなった。

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濃紺のスーツに身を包んだ大山悠輔内野手は、静かに燃えていた。プロ8年目の来季、順調にいけば国内FA権を取得する。球団からは複数年契約を提示されたが、単年契約を選択。そこには、いつでも目の前の戦いにひたむきな男の覚悟があった。

「良い条件を提示してもらいましたけど、来年も単年で勝負させてもらうことにしました。(FA権を)取ったわけではないので。来年取得してから考えたいですし、今は来年連覇することしか考えていない。そこが第一だと思います」

高い評価をもらった球団に感謝した上で、球団史上初の連覇を何よりも最優先とした。1億5000万円の大幅昇給。チーム4人目の年俸2億円超えにも、慢心は一切ない。見据えるのは24年シーズンでも歓喜を味わうことだけだ。

外国人選手を除く来季1億円プレーヤーは大山を含め、今季の7人から球団最多タイの10人となることが確実。生え抜きに限れば、球団史上最多の9人となる見込みとなっている。38年ぶりの日本一を成し遂げ、主力はそろって大昇給。「僕や近本が年俸上がることで、後輩の選手に『頑張れば年俸上がるんだぞ』というモチベーションじゃないですけど、そういったものも見せていく必要がある」と自覚たっぷりだ。

今季は全143試合に「4番一塁」でスタメン出場。最高出塁率のタイトルに加え、ゴールデングラブ賞、ベストナインもダブル受賞した。球団からは「打線を本当の意味で線にしてもらえた」と働きをたたえられ「これを来年も続ける必要がある」と気を引き締めた。

ハワイへの優勝旅行では「1年間しっかりできたのは妻のおかげでもあるので、感謝の気持ちを伝えたい」と奥さん孝行に努める予定の28歳。オフにありったけのエネルギーを蓄え、また連覇への道を進む。【中野椋】(金額は推定)