プロ通算525本塁打を誇る清原和博氏(56)の長男で、慶大野球部3年の清原正吾外野手(21)がプロ野球選手への夢を口にした。24日、横浜市の同大グラウンドで今季の練習納めに参加。中学、高校と野球部未所属ながらすでにリーグ戦初安打をマークしている。胸に秘める夢の数々を明かし、次の春、清原ジュニアが大学4年生になる。

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正吾はネット裏を丁寧に掃除した。寒風を吸い、白い吐息に変える。プロ野球選手-。父と同じ世界への思いを問われた。口元を暖めながら、謙虚に。

「このままじゃ絶対に行けないと思ってるんですけど、この1年間で…まぁ、目指せるものであれば目指したいなと思います」

慶大で3年が過ぎた。少年野球以来、6年ぶりの野球。「(入学)当時は本当に素人同然の状態で」。全体練習でミスをする。怒られもしない。「そんな自分が許せなくて悔しくて、なんとか個人の練習で盛り返してやろうって」。年上にも年下にも誰からともなく教わって、今に至る。

夢はプロ野球選手、だけじゃない。高校時代のアメフト経験を思い出し、冬の体重管理を進める。

「ちゃんと努力すればいろんなスポーツをやっても活躍できるんだよって、小中学生たちみんなに証明してあげたいなっていうのが長期的な僕の、この大学4年間の目標で」

スター2世であっても、従来の王道は歩まない。ドラフト1位候補ながら、米国の大学進学を決断した花巻東・佐々木麟太郎とも通ずるものがある、新時代の感性といえる。

「僕以外にもアスリート1人1人に物語っていうのはあるんで。そこを日本の文化とかそういう面で選択を消してしまうことはしたくないなと思ってて」

清原正吾の物語はどこへ向かうのか。ストーブで足元を暖めながら、やはり吐息は白い。選手として、その前に人の子として。

「なんとか親孝行したい気持ちで覚悟を決めて入部した部分もあったので、最後、形として残るように春も秋も安定して試合に出続けて、ずっと応援してくれてる家族のためにも恩返しをしたいです」

慶応高でプレーした弟の勝児は今夏、自分の誕生日に甲子園優勝を決めた。「最高のプレゼントをもらいました」と季節が巡っても感激は鮮明に残る。次は自分が家族の絆に貢献する番。外野手に挑戦し、最近はオープン戦でも本塁打が何本か出るようになってきた。予感は漂う。

「新チーム、始まったんで。必ず、みんなが『この代良かったな』って思えるチーム作りをしていきたいなと思っています」

父がフル出場し31発を放ったのと同じ21歳になった。大学4年生としての自覚も十分に、熱々な1年を迎える。【金子真仁】