巨人が今季まで阪神でプレーした中継ぎ右腕のカイル・ケラー投手(30)を獲得することが25日、決定的となった。今季途中の8月に家庭の事情で帰国するまでに27試合に登板。防御率1・71と安定感抜群の投球を披露していた。今オフに阪神を退団となり、複数のメジャー球団も獲得に興味を示す中で交渉をまとめた。

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巨人のブルペンに強力なピースが加わる。今季の対戦6試合で無得点に抑えられていた元阪神のK・ケラーを獲得することが決定的となった。12月1日に阪神の保留者名簿から外れて自由契約になったことを受け、水面下で交渉に着手。メジャー複数球団も興味を示す中で、粘り強く交渉し、年明けを待たずに、基本合意にこぎつけた。近日中にも来季の新助っ人として正式に発表される。

K・ケラーは22年に来日し通算61試合に登板し、防御率2・59。クローザー、セットアッパーを務めてきた。今季途中の8月に家族の急な病気のため緊急帰国。その後も家族をサポートするため、再来日が難しい状況が続いた。近しい関係者によると「タイガースは最後まで理解、サポートしてくれた。心から感謝している」とK・ケラー本人が話しているという。

阪神から巨人への移籍も伝統の一戦を盛り上げる要素になる。現役ドラフトでも阪神から中継ぎ右腕の馬場を獲得。戦力を整えるべく、ストーブリーグでもライバル球団同士で火花を散らしている。2年連続Bクラスに沈み、再起を期す来季へ山口オーナー、阿部監督ともに投手力強化を掲げている。トレード、新助っ人ともに一貫した強化方針でチームを編成。来季への準備が着々と進んでいる。

 

◆カイル・ケラー 1993年4月28日、米国ルイジアナ州メテリー生まれ。サウスイースタン・ルイジアナ大から15年ドラフト18巡目でマーリンズ入団。19年にメジャーデビューし、通算44試合、1勝1敗2ホールド、防御率5・83。22年に阪神移籍。同年は開幕から2試合続けてセーブ失敗も、6~8月に17試合連続無失点。今季推定年俸1億8200万円。193センチ、92キロ。右投げ右打ち。

 

◆巨人-阪神間の移籍 両球団間の移籍は2リーグ制後9件目。今オフは阪神馬場皐輔投手が現役ドラフトで巨人へ移籍したのに次いで2人目。外国人では98、99年に阪神でプレーした左腕のメイが、審判への暴力行為、野村監督批判などトラブル続きで自由契約に。巨人移籍後に00年12勝、01年10勝を挙げている。

 

◆巨人の中継ぎ事情 今季の救援防御率はリーグ最下位の3・81だった。大勢が右上肢のコンディション不良で離脱するなど勝ちパターンを固定できなかった。中川、高梨、バルドナード、菊地、鈴木康、船迫、田中千らでやりくりし、苦しい台所事情が続いた。オフはビーディ、ロペスの両外国人右腕が退団し、トレードでオリックスから近藤、ソフトバンクから泉、高橋礼を補強した。ドラフトでも中大・西舘勇陽投手(21)ら即戦力と期待する3投手を指名した。

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