阪神は17日、兵庫・西宮市内で阪神・淡路大震災の被災者を慰霊する黙とうをささげた。マグニチュード7・3、震度7の阪神・淡路大震災発生から、この日で29年を迎える。

練習前に粟井一夫球団社長、和田豊2軍監督(61)らの首脳コーチ陣、ドラフト1位の下村海翔投手(21=青学大)ら新人8人や選手たちが約1分間、静かに黙とうをささげた。グラウンドには半旗が掲げられた。

黙とう後に取材に応じた粟井社長は、1月1日に起きた能登半島地震の被災者にも思いをはせた。「29年前のことも思い出しますけども、やっぱり能登半島の地震、まだ復旧のレベルだと思うんですよ。能登半島の方は復旧さえもこれからということなので、自分が被災した時のことも含めて本当に大変だろうなと」。 阪神・淡路大震災が起きた95年、阪神電鉄に入社して数年を迎えていた粟井社長は、新規事業のレストラン事業に携わっていたが、震災を受けて全壊。幸いにも社員は無事だった。「まずは、生きててよかったから始まりましたけど。だから、本当に亡くなられた方が身近におられる方に関しては、もう僕は何も言葉がないです」。

その後はレストランの従業員の再就職先を探したりと奔走する中で、壊れてしまった甲子園阪神パークのプールの再開を託された。「震災の年に復興につながるような楽しいものを何とかでけへんのかという話になりまして。被災地の中で、はじめ不謹慎だと言われるのかと思ったけど逆にすごく喜んでいただいて」。約1カ月で10万人が訪れた、楽しそうに泳ぐ人々の姿は粟井社長の目に今でも焼き付いている。

今は野球に携わる身として、被災地のためにできることを。「プロだけじゃなくてアマチュアも含めてできるだけ野球をやって、特に被災された方々に元気を届けられたらいいなと思います。続けていくことが大事だなと思います」。グラウンドから少しでも力を届けることを誓った。

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