プロ野球のキャンプインが迫る。高まる気持ちはファンも同じ。12球団で最も遅い2月6日にキャンプインする西武のファンが28日、埼玉・狭山山不動寺で必勝祈願を行った。開幕前には西武ナインが優勝を祈願する聖地に、約100人が集結。昨季5位からの雪辱を後押しする強い一体感の空間に、記者が潜入した。

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住職が赤い炎をたくと、一斉に応援用の選手名タオルが掲げられた。今年こそ-。3月下旬、西武ナインが必勝祈願に訪れる同じ場所、同じ形式で、ファンたちも祈る。写真を見た平沼翔太内野手(26)は「僕たちと同じくらい気合が入ってますね」と驚いた。

発起人は片倉正純さん(45)。「ひら沼」と書かれた黄色のTシャツ姿で、球場でも目立つ存在だ。特に新加入選手への応援が熱い。平沼も「トレードで来て不安もある時期に、ああいうTシャツで応援してくれて僕はすごく心強かったです」と感謝する。

「社交的な性格+黄色」で片倉さんの周りに人が増え、こうして皆で必勝祈願をするほどに。「選手もファンも1年間無事にって。同じ志の人でまとまっていきたいのもあります」。住職の快諾もあって22年に約40人で必勝祈願を開始。昨年は80人、今回は100人。東みちえさん(50)は「おかわり君が先日のトークショーですごく勝ちたがっていたので、その思いも乗せて」とこの日に臨んだ。

本田悠介さん(26)は「久々に皆さんに会えるのが僕にはうれしい」と札幌からやって来た。30歳男性は「友達がいるいない関係なく一体感は生まれるので」と1人で外野席での応援に燃えてきた。SNSを始めて多くの仲間ができた。「負けた時の暗い気持ちも、皆と悔しさを共有できれば救われて、ポジティブになれます」とファミリー感に包まれている。

笹木勝さん、佳子さん夫妻(ともに58)は「来るのが楽しいもん。共通の話題で全然年齢の差を感じないし、みんなでごはんで盛り上がれる」と1泊で宮城県から訪れた。いろいろあったオフの騒動など誰も口にせず、前を向く。24年もライオンズに一丸で“青炎”を送る。【金子真仁】