ソフトバンクのリチャード内野手(24)が7日、宮崎春季キャンプでA組(1軍)昇格を猛アピールした。B組スタートのロマン砲は、午後の個別練習で104スイングで15本の柵越え。生目第2球場の左翼フェンスよりさらに高い防球ネットに4度突き刺すなど、推定140メートル前後の特大弾も披露した。王貞治球団会長(83)も真後ろから見守り、改めて潜在能力を高く評価。今季こその決意を胸に開幕三塁を奪いにいく。

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リチャードは軽々と“場外弾”を放った。午後のフリー打撃。打球は生目第2球場のフェンスを越え、駐車場への落下を防ぐ防球ネットの中段に4度も突き刺さった。バックスクリーン弾も3発お見舞い。最大推定飛距離は140メートル前後だ。午前中のフリー打撃でも快音を連発。大砲の一挙手一投足を追っていた王会長も「もうとにかく、いいものを持ってるんだからね」と何度もうなずいた。

キャンプはB組(2軍)スタート。リチャードは毎日特打を志願した。「染み付けるというか。そんな感じっす」。A組漏れのもどかしい雑念を振り払い、自分の中で約束事を決めている。「まず10球ぐらいは思い切り。フルスイングをしていたら集中力は10球ぐらいしか持たないので。変な打球を打ったら1球外してまた集中。悪いスイングを1回もしないようにしています」。

17年育成ドラフト3位で入団し、今季が高卒7年目。ウエスタン・リーグで昨季まで前人未到の4年連続本塁打王を誇るが、1軍定着の壁を破れないでいる。真の覚醒へ、小久保新体制で臨む今季こその思いは強い。

今オフは過酷な練習メニューで有名な和田塾に野手で唯一参加し、心身ともに鍛え上げた。「どういう意識で取り組んでいるか。朝起きて、球場入ってストレッチして夜ご飯まで。全部が(学んだこと)っていう感じです」。ほぼ24時間を野球にささげる師匠の姿を見て、考え方が180度変わったという。キャンプ前には福井県の工場を訪れ、新たなバットを発注。グリップを若干細くした新相棒で振り込む日々だ。

「僕はA組にいないので。まずはどこかで(A組に)食い込む。目標はそれです」。大激戦区の三塁争いには栗原、井上、野村勇らのライバルひしめくが、3人はいずれもA組スタート。後れを取ったが、焦らず足元を見つめ、逆転を期している。飛ばす力では圧倒できる。あとは確実性のアップ。第2球場で牙を研ぎ、お呼びを待つ。【只松憲】

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