阪神門別啓人投手(19)が開幕ローテ入りへ、1歩前進した。24年初実戦の紅白戦で白組先発登板。佐藤輝や中野、木浪ら日本一野手陣が並ぶオーダーを相手に「とにかく真っすぐで押す」とテーマを貫いた。全39球のうち32球が直球。初回1死一、三塁では紅組4番中野にオール真っすぐ勝負を仕掛けた。粘られた末、フルカウントで迎えた11球目。キレ味鋭い外角低めで、昨季の最多安打男を空振り三振に仕留めた。

「中野さんが粘って粘ってという感じだったんですけど、その中で力みが取れた。そこから自分のピッチングが出来たと思います」

2回3安打1失点の数字以上にインパクトを残した。被安打3本はバットを折りながらの中前打、一塁後方にポトリと落ちる右前打、打ち取った当たりの遊撃内野安打。失点も味方失策によるもので自責点は0だ。最速148キロを計測し、2回には木浪からも直球で空振り三振を奪取。昨季のレギュラー遊撃手からは「最後の球をファウルにしようとしたけど、できなかった」と伝えられたという。分かっていても打てない直球で、堂々と投げきった。

昨秋キャンプから一貫して絶賛してきた岡田監督はこの日の投球内容にも「想定内やろ。ブルペンでええわけやから」とニヤリ。「疲れとってもあれだけ投げるわけやからな。ブルペンでのボールがバッターが立った時に投げられるかどうか。それは全然問題なしに投げとったもんな」。すでに求めるレベルは他の若虎と比べて大きく上方修正されているようだ。

指揮官は「開幕ローテに前進か」と問われると「そんなもん、まだまだや」と冷静に返した。必要以上にリップサービスしない口ぶりからむしろ、19歳左腕への期待の本気度がうかがえる。昨季から課題に挙げてきた直球の質向上に手応えをつかみ、次回の実戦では変化球を交えた配球面にも磨きをかける。初勝利のかかる今季、最終目標は2ケタ星到達。先発争いに割り込むだけでは満足しない。【波部俊之介】

【阪神紅白戦】24年チーム1号はミエセス/詳細