最高の景気づけ弾や! 阪神野口恭佑外野手(23)が13日、沖縄・宜野座キャンプのフリー打撃で、昨季MVPの村上頌樹投手(25)から豪快弾をぶっ放した。岡田彰布監督(66)は16日に行われるチームの対外試合初戦、2軍中日戦(読谷)に野口やライバル前川らを派遣すると明言。1、2軍問わず試合の中で争わせる方針だ。本格化する外野バトルを前に、売り出し中の大砲が勢いづいた。

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野口の18・44メートル先にはあの村上がいた。ランチ特打で実現した昨季のMVP男との「20球勝負」。あらかじめカーブと伝えられた12球目を、思い切り打った。独特の大きなフォロースルー。宜野座の青空に舞いあがった大飛球は左中間席の芝生まで到達した。

「1軍で活躍されている投手なので、打席に立てたのは大きい。今日、ランチ(特打)で投げると聞いて楽しみにしていました。向かっていく、どんどん振っていくことしか考えていなかったです。実戦で打たないと意味がないので、こういった実戦(に近い形)で打ててよかったです」

若き大砲は照れくさそうに振り返った。20球のうち13回を打ちにいき、安打性の打球は5本。最後は、2連続で右中間に快打して、観客から拍手をもらった。「打球の角度をつけるという取り組みの成果は出たと思います」とうなずいた。岡田監督も「おお、野口すごいな。全然バット振れへんなあ思ってたけど。そら自信なるやろなあ」とホクホク顔の豪打だった。

昨秋に支配下契約を勝ち取り、ズバ抜けた長打力で一躍、外野争いの有力候補に。初の1軍キャンプでも存在感を出し続けてきたが、次クールからは争いが本格化する。チーム初の対外試合となる16日の2軍中日戦(読谷)に、野口も参戦する。岡田監督が前川、小野寺とともに1軍から派遣することを明言した。17日、18日にある1軍の練習試合にも当然スタンバイする。

16日出場の事実を報道陣から伝え聞いた野口は「16日ですか? 本当ですか? 16日? いつですか?」と、天然なリアクションで笑わせつつ、しっかり腕まくり。「結果を求めてやっていきたい。試合でしか味わえないことはたくさんある。勉強、経験しながらやりたい」と大歓迎した。

外野のレギュラー確定は近本だけ。ノイジー、ミエセスの両助っ人に昨季実績をつくった森下。そして野口に加え井上、前川ら若手スラッガーもひしめく大激戦区。MVP腕から放った衝撃アーチが、バトルの号砲になる。【柏原誠】