セ・リーグは絶対的V候補不在! 98年横浜日本一監督の権藤博氏(85=日刊スポーツ評論家)は優勝予想を阪神としたが、その理由は「他に推せる球団が見当たらない」から。

混戦の可能性を指摘した上で昨季、球団初の2年連続最下位に終わった中日を3位に予想。強力投手陣をフル活用できれば連覇を狙う阪神にも対抗可能との見方を示した。

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優勝予想は阪神としました。正直、連覇はいつの時代であれ、どの球団であれ本当に難しい「偉業」と定義しています。並大抵のエネルギーでは達成できません。とはいえ、現状で阪神以外に推せる材料を持ったチームが見当たりません。

もちろん戦力バランス、岡田監督のリーダーシップも含めた総合力で優位は動かないでしょう。主力に故障者が続出するなど、よほどのアクシデントが発生すれば別ですが、安定した抑え投手が球宴までに固まれば連覇確率は高いと見ています。

もっとも、阪神が昨年の終盤のように、開幕から独走できるかと言えば、難しいでしょう。対抗馬として2位は巨人、3位には期待も込めて中日としました。中日の投手力はリーグNO・1と評価しています。もともと投手陣は充実しており、2年続けて最下位で終わるようなチームではないというのが私の見方です。

今季は昨年以上に先発、中継ぎとも充実しています。抑えには絶対的な存在となったマルティネスが控えます。阪神投手陣も強力ですが、投手力を生かした戦いに徹すれば上位争いも可能でしょう。

勝てない理由として得点力不足が指摘され続けていますが、これも過剰反応する必要はまったくありません。球場が広く、本塁打の量産ができないなら、別の方法で守りを固め、得点率を高めることに徹するだけです。難しく考えるから深みにはまっていくのです。

そもそも、人並み外れた能力があるからこそプロ野球の世界に入ってきた選手の集まりです。まずはメンバーを固定し、相手より1点多くとるための役割分担を徹底させることです。加入した中田、中島らがチームに少しでも刺激を与えてくれれば、克服できない課題ではありません。

むしろ中日が注意しなければならないのは投手陣の最適化でしょう。オープン戦でもチーム防御率が12球団トップの1・97をマークしましたが、強力と言われるスタッフを率いるときほど監督、コーチはやりづらいものです。首脳陣には最大の武器を生かしきるための大局観と覚悟が求められるでしょう。

阿部監督を迎えた巨人の戦いにも注目しています。原前監督からバトンを受けた捕手出身の指揮官がどんな野球を見せてくれるのか。もともと、このチームには勝てる戦力は整っています。打倒阪神の1番手と見ていいでしょう。

Bクラスとした3チームにもチャンスはあります。広島の粘り強さは不気味ですし、投手陣は年々、整備されています。DeNAは相変わらず戦力バランスがいい。ヤクルトは村上を中心とした野手陣が奮起すれば、上位進出もありえます。(日刊スポーツ評論家)