<西武5-9ソフトバンク>◇21日◇西武ドーム

 ソフトバンクのリードオフマン本多雄一内野手(23)が8打席連続安打、2日で9安打を放った。西武戦で6打数5安打1打点と打ちまくり、20日から球団タイ記録の8打席連続安打をマークした。8月は打率4割5分9厘と絶好調で、打率を3割7厘にまで上げた。打線は毎回、今季7度目の先発全員安打でチームの連敗を3で止め、単独2位を守った。なお今日22日から2日間、北京五輪野球の決勝トーナメントを考慮してプロ野球は休みとなる。

 29年ぶりの球団タイ記録に王手をかけて迎えた7回の5打席目。6球目のファウルでここまで使い続けたバットが折れたが、波に乗る本多には関係なかった。「変に意識せず、うまく生きられるかを考えていた」。谷中からあっさりと左越え二塁打を放った。記録更新のかかった最終回は三ゴロ。それでも不動のリードオフマンが、新井打撃コーチに並ぶ8打数連続安打で引っ張った。

 この日は6打数5安打1打点。前日も5打数4安打と活躍し、2日間で9安打も放った。「ヒットを打っている時は謙虚にいること」と本多は1打席ずつに集中。この日の2回には一ゴロがイレギュラーして二塁打になる運も味方にした。五輪出場中の川崎とは私生活でも仲良しで、代表合流前にはチームを託された。8月は打率4割5分9厘。7月まで2割7分4厘だった通算でも3割7厘まで上げた。金メダルを目指す川崎を心配させることなく、22日の準決勝韓国戦で気分よくプレーしてもらえる活躍でもあった。

 昨年の球宴明けから使う重さ900グラムのバットは従来よりグリップを太め、長さは1センチ短い85センチにした。プロ3年目にして道具にもこだわりを持ち、ヒットマンの精度を高める。

 本多のバットから響く快音に刺激され、打線は先発全員、毎回の17安打を放った。西武のお株を奪う攻撃で連敗を3で止め、王監督はご機嫌だった。「今日は点を取られた後に全部点が取れた。本多?

 最後は惜しかったが、日本記録という楽しみは先に残しておけばいいさ」と笑った。

 日本がソフトボールで金メダルを獲得した日に安打記録。本多は母ひふ代さんがソフトの国体選手という不思議な巡り合わせを感じていた。「のぼせずやりたいですね」。自力優勝の可能性が消えているが、謙虚な1番打者が単独2位を守ってみせた。【押谷謙爾】