<西武4-4広島>◇14日◇西武ドーム

 広島マーティー・ブラウン監督(46)が、絶体絶命の場面を執念の「内野5人制」で切り抜けた。

 4-4同点の延長12回裏無死満塁。一打サヨナラ負けの大ピンチに、監督は得意の奇策を用いた。投手を林から左腕青木高に代えるとともに、左翼末永を下げ内野手の小窪を起用。小窪は左翼ではなく、三遊間の二塁寄り、遊撃梵と二塁東出の間にポジションを取った。見慣れぬシフトに観衆がどよめく中、西武の代打黒瀬の打球は小窪の真正面へ。本来なら中前打となる打球だったが、左翼-捕手-一塁の珍しい併殺プレーが完成した。この後シフトを通常に戻し、後続を打ち取って危機を脱出した。

 小窪は人生初の体験に「打球がくれば本塁に投げるしかないと開き直りました」と胸をなで下ろした。青木高も「5人じゃなければ抜けていた当たり。その点は複雑ですが、抑えられてよかった」と大胆な策に助けられて笑顔を見せた。

 5月6日の中日戦でも内野5人制を用いたブラウン監督は「最後の手段で、準備しておくものではないが、選手は私の意図を理解してよくやってくれたよ」と満足げだ。引き分けたことで交流戦の勝ち越しも決定。4時間39分の価値あるドローに、ナインの表情も明るかった。【高垣

 誠】

 [2009年6月15日11時30分

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