巨人が今季のストッパーとして小林雅英投手(35=インディアンス)越智大祐投手(26)のいずれかを起用する方針であることが11日、分かった。宮崎キャンプ第3クール初日となったこの日、守護神マーク・クルーン投手(36)が昨年12月に右ひじの遊離体除去と骨きょく形成手術を受けて以来、初のキャッチボール。例年より早い開幕を考え、クルーンに調子が戻るまで無理をさせず、実績のある2投手にストッパーの座を預ける。日本一連覇を目指すチームに、新守護神が誕生する。

 新守護神の誕生だ。昨年12月の右ひじ手術からの回復が遅れるクルーンの代役に、実績のある2人の名前が挙がった。原監督は「クルーンが(開幕に)間に合わなければ越智と小林。まだ分からないが2人で考えている」と説明。2年間で計68セーブの助っ人に代わり、日米通算233セーブの名クローザーと、2年連続60試合以上を投げ切った若きセットアッパーに白羽の矢が立った。

 大役候補の2人は、それぞれの姿勢で事態を受け止めた。この日、小林はブルペンで50球を投げ、持ち球のフォークを多投。「ボールも(日米で)違うし、試してみようと思って」とニヤリ。「張り切ろうにも張り切れないんです」と、落ち着き払った態度で貫禄(かんろく)を見せた。一方の越智は守護神候補に「他の人もたくさんいますから。でも、できるための準備はします」と控えめ。それでも70球を投げ、相変わらずの剛腕を見せつけた。

 危機管理と配慮から生まれた構想だ。右ひじ手術から復帰を目指すクルーンは、2月中旬に入ったこの日、ようやくキャッチボールの段階。昨年より1週間早い3月26日の開幕に照準を合わせた場合、超急ピッチのリハビリと調整が必要になる。最速162キロの右腕も4月で37歳。無理をさせれば、ひじ痛の再発でシーズンを棒に振る危険性すらある。原監督は「クルーンには1発がない。四球はあるが、きっちり仕事をしたと思っている。コンディションさえ整えば、それなりの結果を出してくれる」と信頼は揺らいでいない。それだけに無理をさせず、完調での戦列復帰を求めている。

 実績のある2投手がいるからこそ生まれた新守護神プラン。結果が出た上にクルーンが完全復活すれば、リリーフ陣の層はさらに厚みを増す。危険を未然に防ぎつつ成功を収めれば、日本一連覇へ強力な武器が手に入る。【小松正明】

 [2010年2月12日8時59分

 紙面から]ソーシャルブックマーク