<横浜0-1ヤクルト>◇27日◇宜野湾

 父の前で歴史的なデビューを飾った。横浜ドラフト1位の筒香嘉智内野手(18=横浜)がオープン戦初戦から輝きを放った。ヤクルト戦に「6番三塁」で先発出場して4打数2安打の大活躍。高卒ルーキーが1年目のオープン戦初戦で複数安打を放ったのは、65年のドラフト制後では初の快挙になる。

 標的となったのは左腕エース石川と新外国人デラクルスだった。まずは2回1死一塁。フルカウントから石川が投じた外角低め130キロのカットボールを左前に運んだ。変化球にタイミングを崩され泳ぎ気味となったが、バットを振り切らず、ミートを心がけた。「外角にしっかりとついていけた。あの打席は本当に良かった」。打たれた石川も「柔らかいいいバッティングをする」と脱帽した。4回の第2打席ではデラクルスの147キロの低めの直球を中前にはじき返した。「前の打者にストレートを投げていましたから。一塁に走者がいたし、絞って待った」と配球を読み切った。球界きっての技巧派も最速164キロ剛球派も、驚異の18歳に粉砕された。

 この日、父の和年さん(57)が試合を観戦した。キャンプ中は連絡を取り合っておらず試合終了まで知らなかったが、父の前で初安打を放ったと知り「来ていたのですか」とほおが緩んだ。小1の夏、和年さんに連れられ観戦した甲子園で野球に興味を持った。野球道を歩むきっかけを作ったのは父。この時ばかりは素顔の18歳に戻った。和年さんも「ヒットどうこうよりも、元気でプレーをしていたのが何よりです」とねぎらった。

 成長を続ける18歳に、島田ヘッドコーチは「どんどん打ち続けたら、悩みが増える。使うポジションがない。首脳陣泣かせだ」とうれしい悲鳴を上げる。キャンプを締めくくる28日の楽天戦には途中出場の予定。試合経過次第では田中との夢の対決も実現する。【鈴木良一】

 [2010年2月28日8時48分

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