<阪神3-8ヤクルト>◇9日◇甲子園

 情けない…。阪神城島健司捕手(33)が3連敗の責任をひとりで背負い込んだ。勝率5割復帰を狙ったヤクルト戦で3回に勝ち越しタイムリーを放ち、8回の守備では二塁へ矢のような送球でヤクルト三輪の二盗を阻んだが、逆転負けに笑顔を封印。大事なところで1発を浴びる試合が続いており、立て直しを胸に秘めた。借金は今季最多の2。ズルズル敗戦を重ねるわけにはいかない

 言い訳はしなかった。厳しい表情でベンチを出た城島は、自ら敗戦の責任をかぶった。「ホームランと四球は防げるし、バッテリーで防がないといけない。この3試合、痛い所でホームランを打たれた。情けないです…」。1点リードの6回、ガイエルに逆転3ランを浴びた。前カードの巨人2戦目は小笠原に2ランを浴び、同3戦目はラミレスと長野に3ランを食らった。はや2度目の3連敗は、いずれも手痛い1発で決着。その責任は自分にあるとした。

 要求は内角へ切れ込むスライダー。引っ張らせ、ファウルを打たせる狙いだった。「ガイエルは外の甘めの方が怖い。ヒットも打たせないつもりでいった」。だが城島の意に反し、ボールはど真ん中へ。だが安藤を責めることはなかった。7回は筒井も衣川に手痛いソロを浴びたが、リードした自分が悪いとの考え。「とにかく情けない、僕が…。連敗してる時こそピシャッといかないといけないのに」。カッと目を見開き、借金2の現実を直視した。

 だが序盤に流れを引き寄せたのも、城島のバットだった。同点の3回2死二、三塁、バーネットの147キロを右前に運んだ。「先っぽやったけど、いいとこに行って、いいとこに落ちてくれた」。5試合ぶり打点となる一時勝ち越しのタイムリー。しかも、パフォーマンスには続きがあった。

 二塁走者金本が三塁で止まったのを見ると、アレレ?

 と驚いたポーズ。腕をグルグルと回し、両足を動かすランニングポーズを金本に送った。笑顔のメッセージは“ホーム、行けたんじゃないですかぁ?”。チーム最年長42歳となり、ここ数年はチームメートからゲキられることがなかった金本も、思わず舌を出して苦笑いだ。あと1本が出ず、沈滞していたベンチを盛り上げる意味もあったのだろう。城島のキャラでしかできない芸当だが、とにかく勝ちたい一心だった。

 初回第1打席では、体を張って左ひじへの死球で出塁。決定的な3点を奪われ、5点差とされた8回は守りで魅せた。「ゲームが決まった段階。意味のある盗塁刺じゃない」。そう振り返ったが、二盗を狙った三輪を一撃で刺した。見せ場なく終わった試合でも、最後まで声をからした3万7000のファンへ、おわびのバズーカ肩発動だった。

 「しっかりやります!」。ロッカーに消える前、自分に言い聞かせるよう声を大にした。これ以上連敗はできないし、借金も増やせない。男の意地をかけて第2戦に臨む。【松井清員】

 [2010年4月10日12時18分

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