<ロッテ2-4阪神>◇12日◇千葉マリン

 阪神金本知憲外野手(42)のバットが重い扉をこじ開けた。2-0で迎えた5回2死二塁。カウント2-1からの4球目、外に逃げていく変化球に食らいつくと、ライナー性の打球が右中間で弾んだ。6月2日の楽天戦以来、16打席ぶりの適時打に「打ったのはスライダー。必死です」とコメント。負ければ交流戦の勝ち越しが消滅する一戦で、ロッテにダメージを与える一打を放った。

 1、2打席目とも、走者を置いた場面で凡退。ロッテ先発の左腕吉見に3度も失敗することは、プライドが許さなかった。1-1からの3球目、外角低めのスライダーに体勢を崩して空振り。ここで1度、打席を外して息を吐き、神経を集中させた。「カネ(金本)の3点目が大きかった。打つ前までは強く引っ張ろうとしてまったく(タイミングが)合ってなかったのに、追い込まれてから修正して打った」。和田打撃コーチは4番の執念の一打を、手放しで喜んだ。

 13打席ぶりの安打で完全に息を吹き返した。続く7回の第4打席ではロッテ3番手左腕の古谷から、右翼席へ通算450本塁打にあと2本と迫る6号ソロ。かわいがる新井を引き合いに「新井さん流に言えば、チームのために食らいついていきました」。連続無安打というトンネルを抜け、アニキはいつものように冗舌になっていた。

 右肩の故障で全イニング出場が途切れてからは1度も守備に就いていない。「あの安打(5回の適時打)で気持ちも楽になったんだと思う。これで状態も上がってくるよ」と和田コーチ。13日のロッテ戦にも勝って交流戦の勝ち越しを決め、18日から再開するリーグ戦にも弾みをつける。そのためには金本の働きが必要不可欠だ。【石田泰隆】

 [2010年6月13日8時22分

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